
EUデジタル製品パスポート(DPP)とは
【1.EUデジタル製品パスポート(DPP)とは】
EUのデジタル製品パスポート(Digital Product Passport: DPP)は、製品、部
材、材料に関する識別情報、環境情報、循環性情報、規制適合情報を、サプライ
チェーン全体で一貫して参照可能とするためのデジタル基盤です。
制度上の特徴は、DPPが単なる消費者向け表示手段ではなく、サプライチェーン上流
を含む情報伝達、規制適合の実証、修理・再使用・再資源化の支援、ならびに市場監
視当局による検証を支える情報インフラとして設計されている点にあります。
DPPの導入により、製品ごとの環境・循環性情報は、事業者内部の管理情報から、規
制対応上の提出・提示情報へと性格を変えます。特に、電池、繊維、化学品、金
属、ICT関連製品等では、Tier1に限定されない上流サプライチェーン情報との接続が
制度要件化される可能性が高く、従来型の調達方針、誓約書、契約条項のみに依拠し
た間接管理では、適合性の立証として十分でなくなるおそれがあります。
1.DPPとは
1.1 制度上の位置づけ
DPPは、持続可能な製品のためのエコデザイン規則(ESPR)(*1)の中核的構成要素
です。ESPRは、EU市場に投入される製品について、循環性、耐久性、修理容易性、再
資源化可能性、再生材含有率、エネルギー性能、その他の環境持続可能性要素を向上
させるための共通枠組みを定める規則であり、2024年7月18日から適用されていま
す。
DPPは、この規則の下で製品別委任法により具体化される情報要件を実装するための
デジタル手段として位置づけられます。
ESPRの解説資料(*2)によれば、DPPは、製品、部品、材料に関する関連情報を電子
的に利用可能とする「デジタルな製品識別基盤」です。
利用主体は消費者に限定されず、製造業者、輸入業者、販売事業者、修理事業者、再
資源化事業者、市場監視当局、税関当局等を含みます。
したがって、DPPは、表示、技術文書、サプライチェーン証跡、アフターサービス情
報を統合的に接続する制度として理解するのが適切です。
1.2 対象情報の範囲
DPPに含まれる具体的データ項目は、今後の製品別委任法により確定されますが、現
時点の制度設計からは、少なくとも以下の情報群が想定されます。
すなわち、製品識別子、事業者識別子、施設識別子、製造地、材料構成、懸念物質情
報、カーボンフットプリント、水・資源消費量、再生材含有率、修理情報、分解情
報、再資源化情報、ならびに一定のサプライチェーン関連情報です。
EUの関連説明(*3)でも、DPPには固有製品識別子、適合文書、懸念物質情報、使用
説明、安全情報、廃棄方法等が含まれ得ると整理されています。
制度上の要点は、DPPが製品属性の表示にとどまらず、ライフサイクル全体の環境・
循環性性能を、比較可能かつ検証可能な形で提示する基盤として構成されている点に
あります。
このため、DPPは単なる文書管理の問題ではなく、LCA算定、CFP伝達、再生材証
明、化学物質管理、修理可能性評価等を包含する技術情報管理の枠組みとして把握す
る必要があります。
1.3 GS1 Digital Link、レゾルバ、自社DBを介した情報提供構造
DPPの実装において重要な技術要素の一つが、GS1 Digital Link(*4)です。GS1
Digital Linkは、GTIN、GLN、SSCC等のGS1識別子に加え、必要に応じてロット番
号、シリアル番号、有効期限等を、ウェブ上で利用可能なURI形式として表現するた
めの標準です。この標準の意義は、識別子を単なる物流・商流上のコードとしてでは
なく、オンライン情報資源への共通入口として機能させる点にあります。
ここで重要なのは、GS1 Digital Link自体が情報を格納するデータベースではないこ
とです。実際には、製品上のQRコード等に埋め込まれた識別子が、オンライン上の製
品情報、適合証憑、取扱説明書、修理情報、トレーサビリティ情報等に接続される入
口となります。そのため、一つの識別子を起点として、用途別に複数の情報資源へ誘
導する設計が可能になります。
この接続制御を担うのが、GS1-Conformant Resolver Standard(*5)に基づくレゾ
ルバです。レゾルバは、GS1 Digital Link形式の識別子を受け取り、当該識別子に対
応する一つ又は複数のオンラインリソースへ接続します。
基本動作としては、既定のURLへのリダイレクトを行いますが、運用設計によって
は、利用者属性、用途、言語、端末、アクセス権限等に応じて接続先を切り替えるこ
とができます。
例えば、一般消費者には製品概要や廃棄方法を、修理事業者には分解・補修情報
を、取引先には追加技術文書を、規制当局には限定公開の適合証憑やDPP関連データ
を提示する構成が可能です。
実務上は、製品に関するすべての情報を単一の公開データベースに集約する必要はあ
りません。製品マスタ、化学物質情報、CFP算定結果、再生材情報、適合文書、サプ
ライヤー由来データ等は、既存の社内DB、PLM、ERP、品質管理システム、LCA管理シ
ステム、サプライヤーポータル等に分散して保持されるのが通常です。
GS1 Digital Linkは、それら分散データ資源への共通入口を提供し、レゾルバはその
時点で必要な宛先へ利用者を誘導します。すなわち、識別子は共通化しつつ、データ
実体は分散管理するという構成が可能です。
この構成は、ESPRが想定するDPPの制度構造とも整合的です。ESPRでは、固有製品識
別子、データキャリア、登録簿、公開ウェブポータルの整備が予定されています
が、それは必ずしも全データの中央集約を意味しません。
むしろ、必要な識別情報を規制上の基盤に登録しつつ、詳細情報の実体は事業者側シ
ステム又は認可されたサービス提供者の管理下に置く構成が想定しやすいです。
さらに、この方式には運用上の柔軟性があります。製品上のコードを変更しなくて
も、レゾルバ設定又は自社DB側の参照先を更新することで、改訂版文書、新規証
憑、追加説明、当局対応画面等に接続先を差し替えることができます。
DPPのように制度要件や表示内容が段階的に変化する制度において、この柔軟性は実
装上の重要要件です。
1.4 DPPの機能
DPPの制度的機能は、情報保管にとどまりません。
第一に、比較可能性の確保です。企業独自の表現ではなく、EUが定める製品別要件又
は算定ルールに沿ったデータ提示が求められます。
第二に、証拠性の確保です。とりわけカーボンフットプリントや再生材含有率等につ
いては、算定根拠、データソース、更新頻度、検証状況が重要となります。
第三に、流通・監視との接続です。EU委員会のDPP service providersに関する説明
(*6)では、税関当局が輸入品のDPPの存在及び真正性確認に活用し得ることが示さ
れています。DPPは、製品をEU市場で流通させるための実務基盤です。
2.DPPを要求するEU調和法
2.1 法的中核としてのESPR
DPPの法的中核はESPRで、旧エコデザイン指令の対象を超え、食品、飼料、医薬品等
の一定例外を除く広範な物理製品について、将来的にエコデザイン要件を設定し得る
制度基盤を提供します。
重要なのは、ESPR自体がすべての製品に一律内容のDPPを即時適用するのではな
く、作業計画と委任法により、対象製品群と要求データ項目を段階的に具体化する点
です。
2.2 2025-2030作業計画が示す優先製品群
Ecodesign for Sustainable Products and Energy Labelling Working Plan
2025-2030(*7)は、DPPがESPRの重要な柱であることを明確にしています。この作
業計画では、エコデザイン措置が採択される製品には、同等の情報を提供する代替デ
ジタルシステムが存在しない限り、原則としてDPPが付されるとの方向が示されてい
ます。
優先製品群としては、鉄鋼、アルミニウム、繊維、衣類、履物、家具、タイヤ、化学
品、エネルギー関連製品、ICT製品及びその他電子機器等が挙げられています。
特定製品群に関する詳細要件は今後の委任法に委ねられますが、識別子、環境情報、
循環性情報、修理・再資源化情報のデジタル接続という基本方向は既に明確です。
2.3 先行モデルとしてのEU電池規則
製品別制度として先行しているのが、EU電池規則(*8)です。電池規則は2024年2月
18日から適用されており、持続可能性、安全性、ラベリング、回収、再利用、再資源
化を含む電池ライフサイクル全体を対象とします。要約資料(*9)によれば、LMT電
池、産業用電池、電気自動車用電池については、ラベル、QRコード、バッテリーパス
ポートを組み合わせた情報提供構造が採用されています。
電池規則が重要である理由は、DPPの要件が、上流サプライチェーン情報、再生材証
明、人権・環境デューデリジェンス、CFP情報とどのように接続されるかを、製品別
に具体化した先行例だからです。ラベリング要件は2026年から、QRコードは2027年か
ら適用される整理となっており、他製品群の制度設計を予測する上でも参照価値が高
いです。
2.4 CSDDDとの接続
DPPは、企業サステナビリティ・デューデリジェンス指令(CSDDD)(*10)との関係
でも重要です。CSDDDは、自社、子会社、ビジネスパートナーを含む活動の連鎖にお
いて、人権及び環境に関する実際又は潜在的な悪影響を特定し、防止し、軽減し、是
正することを大企業に要求します。EU委員会の解説(*11)では、Omnibus I後の制
度整理として、国内法化期限を2028年7月26日、原則適用開始を2029年7月26日として
います。
DPPとCSDDDの接点は、上流サプライチェーンの情報可視化と証跡化にあります。特定
原材料の調達経路、再生材の由来、強制労働・環境リスクの有無、改善措置の履歴等
は、DPPが直接又は周辺システムを通じて接続すべき情報群となり得ます。した
がって、DPPは環境情報のデジタル容器というより、活動連鎖全体のリスク管理証跡
を構造化する基盤として位置づけるほうが適切です。
2.5 今後のEU調和法への広がり
EU委員会の新立法枠組み(NLF)に関する整理(*12)では、現行の産業製品法共通
ツールボックスの将来適合性を確保する観点から、デジタル製品パスポート及びデジ
タルCEマーキングの導入検討が有益とされています。この視点は、DPPがESPR内部で
閉じた制度ではなく、将来的にはより広範なEU調和法体系の共通基盤要素へ発展し得
ることを示唆しています。
2.6 DPP service providersをめぐる新展開
2024年11月及び2025年4月には、EU委員会がDPP service providersに関する証拠募集
及び公開協議(*13)を実施しました。論点は、DPPデータを保管、管理、利用可能
化するサービス提供者に課す要件、認証の必要性、アクセス権管理、システムの信頼
性等です。
これは、DPP制度が抽象的法概念から、運営主体、保管方式、真正性確認、認証制度
を含む実装設計段階へ移行していることを示しています。
3.DPPの営業秘密の保護の仕組み
3.1 全面公開ではなく、層別アクセスが前提
DPPに関する最大の実務懸念の一つは、営業秘密情報の流出です。原材料調達先、配
合比率、加工条件、歩留まり、サプライヤー構成、原価構造等は、企業競争力の中核
をなす場合が多いです。しかし、DPPは制度上、全面公開を前提とするものではあり
ません。むしろ、公開層と限定アクセス層を分け、利用主体ごとに必要な情報のみを
提示する設計とすることが現実的です。
3.2 GS1 Digital Linkとレゾルバによる選択的接続
営業秘密保護の観点から見ると、GS1 Digital Linkとレゾルバの組合せは、「一律公
開」ではなく「選択的接続」を可能にする技術です。製品上のコードをスキャンした
からといって、すべてのDPPデータ又は上流サプライチェーン情報が無条件に開示さ
れるわけではありません。
実際には、識別子を受けたレゾルバが、利用者属性、用途、権限に応じて、自社DB、
顧客向けページ、当局向け画面、API、ダウンロード証憑等へ接続先を振り分ける構
成が取れます。
この方式により、一般消費者には製品概要、修理情報、廃棄情報のみを提供し、取引
先、監査人、規制当局には契約又は法令上必要な範囲で追加情報を提示することが可
能になります。加えて、情報の原本データは社内DB又は管理下の周辺システムに保持
したまま運用できるため、営業秘密情報を恒常的に公開環境へ置く必要がありませ
ん。
3.3 営業秘密指令の基本構造
営業秘密保護の法的基盤は、EU営業秘密指令(*14)にあります。同指令は、一般に
知られておらず、秘密性ゆえに商業的価値を有し、かつ管理者が合理的秘密保持措置
を講じている情報を営業秘密と定義し、その無断取得、使用、開示を保護対象としま
す。ここで重要なのは、保護の前提として「合理的措置」が必要である点です。
このため、DPP時代の営業秘密保護は、秘密保持契約のみでは足りず、アクセス権設
定、認証方式、暗号化、ログ管理、データ分類、第三者提供統制等を含むシステム的
・組織的措置として実装される必要があります。営業秘密保護は、法務論点であると
同時に、情報システム設計論点でもあります。
3.4 データスペース型アーキテクチャとの整合性
ウラノス・エコシステム、CMP、Catena-X、PACT等のデータスペース型アーキテク
チャが注目される理由もここにあります。
これらは、データを中央に集約せず、各事業者が自社管理下で保持しながら、必要な
属性又は結果値のみを相手方に提供する構造を取りやすいです。したがって、CFP算
定結果や適合フラグは共有しつつ、配合レシピや価格条件等の競争上機微な情報は秘
匿するという分離が可能となります。
3.5 営業秘密保護の限界
営業秘密保護は、法令上提出すべき情報まで非開示とする根拠にはなりません。EU委
員会の営業秘密解説(*15)でも、公衆衛生、環境、消費者安全等の公益上必要な情
報開示義務は営業秘密指令によって妨げられないことが明示されています。
したがって、実務上は「何を提出するか」ではなく、「どの情報を、どの粒度で、ど
の相手に、どの方式で提供するか」を設計することが本質になります。
4.日本企業のサプライチェーンマネジメントの考え方 含む デューデリジェンス
4.1 方針管理からデータ管理への転換
DPP導入により、日本企業のサプライチェーンマネジメントは、方針管理からデータ
管理へと重心を移します。調達基本方針、サプライヤー行動規範、化学物質不使用誓
約、CSRアンケート等は引き続き必要ですが、それ自体が適合性の十分条件ではあり
ません。必要となるのは、上流から受領したデータを、自社製品識別子と紐付け、必
要に応じて検証し、下流又は当局へ引き渡し可能な状態で管理することです。
4.2 Tier2以上を含むトレーサビリティ
電池、繊維、化学品、金属、電子部品等では、Tier1申告のみで完結しない制度設計
が進む可能性が高いです。再生材含有率を証明するには由来工程と供給者情報が必要
であり、懸念物質管理には部材単位又は物質位置情報が必要となる場合がありま
す。
CFPでは、工場共通エネルギーの配賦方法、一次データの範囲、按分ルールの合理性
が問われます。したがって、トレーサビリティは調達先一覧の把握ではなく、データ
系譜の管理として再定義する必要があります。
4.3 デューデリジェンスとの統合
CSDDDは、すべての取引先に一律最大限の情報取得を求める制度ではなく、重大性と
発生可能性に基づくリスクベース管理を要求する制度です。しかし、重大リスク領域
については、調査、防止、軽減、是正の各措置が求められ、その証跡管理が不可欠と
なります。DPPは、その証跡を構造的に接続する基盤として機能し得ます。
このため、調達契約、サプライヤー監査、苦情処理、是正措置、第三者認証、原材料
デューデリジェンスを、製品別情報設計の中に統合的に位置づける必要があります。
4.4 費用負担と国内法上の論点
DPP対応では、上流企業や中小サプライヤーに対し、データ作成、システム入力、証
憑整備、検証対応等の実質的負担が発生します。この負担を一方的に無償転嫁し、価
格に反映せず、短期間で強制する場合、日本法上の優越的地位濫用又は買いたたきに
類する問題を惹起するおそれがあります。
したがって、必要データ項目、更新頻度、フォーマット、検証レベル、費用負担、責
任分担を、契約書、発注書、品質協定、サステナビリティ条項等に適切に落とし込む
ことが必要です。
4.5 データ標準と基盤整備
化学物質分野ではchemSHERPAが広く用いられていますが、DPPで要求される情報は化
学物質情報にとどまりません。
CFP、再生材、修理性、耐久性、原産地、人権・環境デューデリジェンス等、複数情
報群を束ねる必要があります。
したがって、GS1識別子を基軸として、必要データを相互運用可能な形で接続し、
EU側データスペースとの接続性を確保することが重要となります。
また、GS1 Digital Linkとレゾルバの考え方は、この基盤整備と整合的です。すなわ
ち、同一識別子を起点として、消費者向け表示、BtoB向けデータ、当局向け証憑、社内
DB上の原本情報を分離運用できるため、DPP対応を単一巨大システムへの全面移行と
してではなく、既存DB群の接続再設計として整理しやすいです。
4.6 監査と検証の比重
DPPの運用では、数値の提示だけでなく、算定ルール、証拠、更新頻度、第三者検証
の有無が問われます。特にCFPでは、一次データと二次データの境界、工場共通エネ
ルギーの配賦、外注工程の取り扱い、ロット差・年度差の管理が主要監査論点となり
ます。
このため、DPP対応は帳票整備ではなく、証拠が自然に残る業務フローの構築として
進める必要があります。ERP、生産管理、品質管理、LCA算定、サプライヤーポータル
間で、どのデータがどの製品パスポートへ反映されたかを追跡可能とすることが求め
られます。
4.7 営業部門への波及
DPPは法務、調達、品質、ITの課題にとどまらず、営業部門及び顧客対応部門にも波
及します。EU顧客からの説明要求、監査対応、仕様変更協議、価格改定交渉におい
て、再生材比率、CFP、修理性、適合証憑等が商談要件化する可能性があるためで
す。
この意味で、DPP対応はコンプライアンス負担であると同時に、説明可能性を競争力
へ転換するための営業基盤でもあります。
5.まとめ
5.1 DPPの本質
DPPは、環境ラベルの拡張版ではなく、製品単位の情報開示を入口として、サプライ
チェーンの透明化、デューデリジェンスの証跡化、再生材利用の実証、CFP算定の高
度化、営業秘密管理の再設計を同時に要求する制度です。
制度の重点は、何を開示するかのみならず、どの識別子で、どのデータを、どの基盤
に保持し、どの相手に、どの権限で提示するかという実装設計に移りつつあります。
5.2 日本企業にとっての技術的含意
日本企業にとっての含意は明確です。DPPはEU向け輸出製品の追加表示要件ではな
く、調達、製造、品質、法務、IT、営業を横断するデータガバナンス課題です。特に
Tier2以上の情報接続が求められる領域では、従来型の誓約書管理から、識別子、
データ標準、契約、費用負担、第三者検証、秘密保持を統合した情報基盤設計へと移
行する必要があります。
5.3 2026年時点での実務的整理
2026年時点では、全製品・全拠点を対象とする即時全面対応よりも、優先製品群、自
社の上流リスク、既存データ基盤、取引先契約構造を整理し、どのデータを一次
データとして取得し、どのデータを第三者保証に委ね、どの情報を限定アクセスで管
理するかを明確化する段階にあります。
DPPは、新たな開示制度であると同時に、サプライチェーンの説明責任を構造化する
ための制度です。
※当説明内容は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の
見解等を代弁するものではありません。法規制の解釈は必ず原文を参照してくださ
い。
(一社)東京環境経営研究所 松浦 徹也
引用先
(*1)Regulation (EU) 2024/1781 establishing a framework for the setting of ecodesign requirements for sustainable products https://eur-lex.europa.eu/eli/reg/2024/1781/oj/eng
(*2)EUR-Lex summary: Ecodesign requirements for sustainable products https://eur-lex.europa.eu/EN/legal-content/summary/ecodesign-requirements-for-sustainable-products.html
(*3)data.europa.eu: EU’s Digital Product Passport: advancing transparency and sustainability https://data.europa.eu/en/news-events/news/eus-digital-product-passport-advancing-transparency-and-sustainability
(*4)GS1 Digital Link
https://www.gs1.org/standards/gs1-digital-link
(*5)GS1-Conformant Resolver Standard
https://ref.gs1.org/standards/resolver/
(*6)European Commission: Commission seeks views on the future Digital Product Passport https://single-market-economy.ec.europa.eu/news/commission-seeks-views-future-digital-product-passport-2024-11-13_en
(*7)Communication from the Commission: Ecodesign for Sustainable Products and Energy Labelling Working Plan 2025-2030
https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=celex:52025DC0187
(*8)Regulation (EU) 2023/1542 concerning batteries and waste batteries https://eur-lex.europa.eu/eli/reg/2023/1542/oj/eng
(*9)EUR-Lex summary: Sustainability rules for batteries and waste batteries
https://eur-lex.europa.eu/EN/legal-content/summary/sustainability-rules-for-batteries-and-waste-batteries.html
(*10)Directive (EU) 2024/1760 on corporate sustainability due diligence https://eur-lex.europa.eu/eli/dir/2024/1760/oj/eng
(*11)European Commission: Corporate sustainability due diligence https://commission.europa.eu/topics/business-and-industry/doing-business-eu/sustainability-due-diligence-responsible-business/corporate-sustainability-due-diligence_en
(*12)European Commission: New Legislative Framework https://single-market-economy.ec.europa.eu/single-market/goods/new-legislative-framework_en
(*13)European Commission: Commission launches consultation on the Digital Product Passport https://single-market-economy.ec.europa.eu/news/commission-launches-consultation-digital-product-passport-2025-04-09_en
(*14)Directive (EU) 2016/943 on the protection of undisclosed know-how and business information (trade secrets) https://eur-lex.europa.eu/eli/dir/2016/943/oj/eng
(*15)European Commission: Trade secrets
https://single-market-economy.ec.europa.eu/industry/strategy/intellectual-property/trade-secrets_en
(2026年8月)