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インドネシアの国家成長戦略

【1.インドネシアの国家成長戦略 】
インドネシア共和国 (Republic of Indonesia / Republik Indonesia)は、面積が日
本の約5倍、人口は世界第4位の約2.8億人 です。
主要産業は、製造業(輸送機器、飲食品など)、農林水産業(パーム油、ゴムなど
)、鉱業(石炭、LNGなど)です。
インドネシアが建国100周年を迎える2045年までに、「先進国」の仲間入りを果たす
ための国家グランドデザインとなる「Visi Indonesia Emas 2045- Rencana Pembangunan Jangka Panjang Nasional 2025-2045-“RPJPN 2025-2045”(黄金のイ
ンドネシア 2045-国家長期開発計画2025-2045)」(*1)を策定しました。
この国家計画は「2024年法律第59号 国家長期開発計画“Undang Undang (UU) Nomor 59 Tahun 2024”(*2)として、2024年9月13日に告示されました。
また、インドネシアは2025年1月にBRICSへの加盟し、 2025年6月にOECD加盟に向けた
「初期メモランダム(自己評価書)」を提出し、国内の法制度や規制を国際基準に合
わせる取組が本格化してきています。
BRICS加盟とOECD加盟は相反する政策に見えますが、「BRICS(新興国との協力)」と「
OECD(先進国基準の導入)」の両方に軸足を置く全方位外交により、世界的な影響力
を高め、経済成長を加速させる戦略としています。
このような政策は、成長市場を生むとみなされ、多くの企業がインドネシア市場に熱
い視線を送っています。
 また、インドネシアの戦略は他のアセアン諸国の模範とされる可能性があります。
インドネシアの環境、化学物質関連規制に関わる現状と戦略目標をまとめてみます。

1.1RPJPN 2025-2045の全体像
主要なテーマは「トランスフォーメーション(変革)の加速」です。これまでの「イ
ンフラ整備中心」から、「人的資源」と「産業の高度化」へと軸足が移っています。
(i)所得水準:国民一人当たり所得(GNI)が23,000米ドル以上(先進国水準)
(ii)経済規模:世界第5位の経済大国(GDPベース)
(iii)人材開発:人間開発指数(HDI)を世界トップクラス(貧困率 0.5?0.8%へ削減

(iv)国際競争力:グローバル・イノベーション指数でトップ30位以内
(v)温室効果ガス:2060年までのネットゼロに向けた排出量の大幅削減(低炭素化)

1.2RPJMN 2025?2029の要点まとめ
 主要なテーマは「トランスフォーメーション(変革)の加速」です。これまでの「
インフラ整備中心」から、「人的資源」と「産業の高度化」へと軸足が移っていま
す。
(i)産業の下流化(Downstreaming)の拡大
・原材料の輸出から付加価値を国内でつけた製品の輸出
(ii)食料・エネルギー自給率の向上
・「食糧自給(Food Estate)」やエネルギー自給の強化
(iii)デジタル・トランスフォーメーション
・GovTech Indonesia」による行政手続きの一元化・デジタル化
(iv)グリーン経済とエネルギー移行
・石炭火力発電の段階的廃止、素税の導入や炭素取引本格運用

この計画は、「外資への開放(デジタル・グリーン分野)」と「国内規制の厳格化(
環境・品質基準)」の両面を加速させるものです。
インドネシアを「安価な労働力の供給源」としてではなく、「高度なイノベーション
と消費の中心地」、「環境規制の高度化」とするものです。

環境・化学物質・廃棄物分野の規制・目標は次のようになっています。
(i)廃棄物削減 (拡大生産者責任(Extended Producer Responsibility)(EPR)
Permen LHK 75/2019(*3)に基づき、生産者による廃棄物30%削減を完遂する。
(ii)プラスチック規制
2029年末までの「使い捨てプラスチック(サシェ、ストロー等)」の完全廃止に向け
た執行の厳格化する。
(iii)B3物質管理 有害有毒物質(B3)の登録・通知をオンラインシステムで100%管理
し、トレーサビリティを確立する。
(iv)環境格付け (PROPER) 企業の環境評価制度「PROPER」に、炭素排出や循環経済の
指標をより強く反映させる。
インドネシアの環境・化学物質規制がEU法規制(REACHやエコデザインなど)と考え
方の面で調和していく可能性は高いながらも、徐々に国内状況を踏まえながら進める
と思えます。
インドネシアは「産業の下流化」を掲げ、ニッケルなどの重要鉱物を加工してEV
バッテリーや電子機器として輸出することを目指しています。
主要輸出先であるEUが導入する「欧州電池規則」や「炭素国境調整措置(CBAM)」に
適合しなければ、インドネシア製品は市場から排除されてしまいます。
OECDへの加盟プロセスを開始していますが、化学物質管理(GLP: 優良試験所基準の
導入など)や環境ガバナンスにおいて、先進国並みの透明性と科学的根拠に基づいた
規制が求められます。
EU REACHでいう「化学物質のリスク評価」の考え方を導入する必要があります。
(vi)循環型経済(サーキュラーエコノミー)の導入
「RPJPN 2025-2045」で掲げられた循環型経済の概念は、EUの「循環型経済アク
ションプラン」と非常に親和性が高いもので、 Permen LHK 75/2019 で導入されている
EPRは、まさにEU的な「生産者がライフサイクル全体に責任を持つ」という考え方が
土台になっています。
 一方で、EUのような高度な化学物質データベースや専門家集団を維持するコスト
は、インドネシアにとって大きな負担です。そのため、当面は「全ての物質」を網羅
するEU方式より、「特定の有害物質(B3)に絞ったリスト管理」が現実的な解として
残ります。
EUレベルの厳しい包装規制を強行すると、低所得層の生活を直撃します。そのた
め、規制の適用には常に「社会への激変緩和措置」が伴います。

2. 2025年の化学物質規制法改定動向

 2025年に環境、化学物質規制に関して大きな変化がありました。
2.1 政府規則2025年第28号(PP 28/2025)(*4)
 PP28/2025はPP5/2021を刷新した規則で、インドネシアの事業許可制度を リスク
ベース(Risk-Based Business Licensing) に基づいて再構築し、より明確で一貫し
た制度にすることを目的としています。2025年改定では次項などを強化していま
す。
-事業活動のリスクレベルに応じて必要な許認可を調整
-高リスク事業には厳格な審査、低リスク事業には簡素化された手続き
-透明性と予測可能性の向上
 対象となる産業セクターがこれまで規制が曖昧だった新興分野や特定のサービス業
も「リスクベース」の枠組みに組み込まれ従来の16セクターから22セクターへ拡大さ
れました。「工業セクター」は以前から対象となっています。
これらのセクターに属する事業は、事業コード(KBLI)ごとに以下の4段階のリスク
に分類され、必要な書類が異なります。
(i)低リスク (Rendah): NIB(事業基本番号)のみで事業開始が可能
(ii)中低リスク (Menengah Rendah): NIB 及び 標準証明書(自己申告)
(iii)中高リスク (Menengah Tinggi): NIB 及び 標準証明書(政府の検証が必要。
(iv)高リスク (Tinggi): NIB 及び正式な「許可(Izin)」(AMDAL等の厳格な審査が
必須)

電気電子製品の中間ユニットのアッセンブリ、小規模、樹脂成形・塗装は外注のよう
な事業形態では、標準的なリスク区分は 「中低リスク(Menengah Rendah)」 または
「中高リスク(Menengah Tinggi)」 に該当する可能性が高いと思われます。
樹脂成形や塗装工程には、有害物質(B3)を含む塗料の使用、有機溶剤の揮発、粉
塵、排水処理といった「環境負荷の高い工程」を「自社で行わない(外部利用)」と
いう点
で、自社拠点の 「環境・健康・安全(KHS)リスク」 が大幅に軽減されるため、高
リスク(AMDALが必要なレベル)を回避できる可能性が極めて高くなります。
 一般的な判断は次になります。
・中低リスク:小規模?中規模の組立工程のみ。有害な排水・排気が出ない場合など
・中高リスク:輸出入が頻繁、または製品の安全基準(SNI)への適合が必要な電子
製品の場合など

2.2 商務大臣規則2025年第20号(Permendag 20/2025)
正式名称は「2025年輸入政策および規制に関する商務大臣規則第20号」(Peraturan
Menteri Perdagangan Nomor 20 Tahun 2025 tentang Kebijakan dan Pengaturan
Impor)(*5)で、2025年8月に発効し、特定された化学物質、危険物質、および鉱物
資源の輸入管理を強化しています。
(i)「事前承認なしの輸入」の事実上の撤廃
この規則の最大の柱は、すべての輸入貨物に対して「インドネシア入港前」の完全な
コンプライアンスを要求している点です。
-水際対策の強化: 貨物がインドネシアの税関(Border)に到着する前に、必要な全
ての許可を取得していなければなりません。
-事後対応の不可: 到着後に「許可を申請中である」という言い訳は通用せず、不備
がある場合は即座に積戻し(Re-export)または廃棄の対象となります。
(ii)輸入承認(PI)と技術検証(LS)の義務化
多くの品目において、以下の2段階のチェックが課されています。
-輸入承認(Persetujuan Impor: PI): 商業省から発行される数量枠。
-技術検証(Laporan Surveyor: LS): 出荷国(日本など)での船積み前検査。
-対象品目: 化学物質(B2/B3)、プラスチック原料、鉄鋼、電子機器、繊維、履物な
ど、国内産業への影響が大きい品目が網羅されています。
対象品目は規則2025年第20号の附属書にHSコードで明確にされています。
(iii)デジタルシステム(SINSW)への完全統合
すべての手続きは、インドネシア・ナショナル・シングルウィンドウ(SINSW)*を通
じて行われます。
-データの同期: 商務省のシステム(INATRADE)と税関のシステムがリアルタイムで
同期されます。
-実績報告の厳格化: PI(輸入承認)を取得した企業は、その利用実績をオンライン
で月次報告する義務があります。この報告を怠ると、システムのロックや次回のPI発
行拒否といった自動的なペナルティが科されます。
(iv)特区(KEK)や保税倉庫への適用範囲
これまで規制が緩和されていたエリアについても、管理が厳格化されました。
-KEK(経済特区): 特定の消費財や有害物質については、KEKへの輸入であっても
PIやLSが要求されるケースが明文化されました。
-保税エリア(TPB): 国内市場(ダークル:Daerah Pabean)へ製品を出す際の規制
がより明確になり、国内産業保護の観点から厳しくチェックされます。
(v)API-U(一般輸入業者)とAPI-P(製造輸入業者)の区別
輸入業者の種類によって、輸入できる品目や条件が厳密に分けられています。特に製
造業者(API-P)が「自社生産に使用する原料」として輸入する場合の枠組みが整理
されました。
 他にも、 BPOM規則 2025年第25号(安全性、 利点、品質などの化粧品成分に関す
る技術要件)(*6)及びBPOM規則 2025年第26号(天然医薬品、健康補助食品、医薬
部外品、および特定の化粧品に使用される原材料のリスク研究に基づく規制)(*7)
も告示されました。
このように、RPJPN 2025-2045は2025年にスタートしました。

3.インドネシアの基本的な化学物質規制法

3.1 2001年インドネシア共和国政府規則第74号 「危険物質および有毒物質の管理に
関する規則(PERATURAN PEMERINTAH REPUBLIK INDONESIA NOMOR 74 TAHUN 2001)(
*8)

RPJMN 2025?2029では、究極の目標はEU REACH規則のようにすべての化学物質につい
て規制するとしつつも、先ずは、現行のB3(Bahan Berbahaya dan Beracun)規則を
強化するとしています。この規則は、B3物質のライフサイクル(輸入、製造、流
通、貯蔵、使用、廃棄)全体を管理し、環境および人間の健康への被害を防止するこ
とを目的としています。
 B3規則と下位規定で以下の義務を課しています。
(i) 登録・許認可
B3 使用・輸入の許認可制度
(ii) 通知・報告
B3 の使用量・輸入量・在庫に関する 定期報告・インベントリ報告
環境監督のためのデータ提出義務
(iii)ラベル・SDS・情報提供
GHS 分類・ラベル・SDS は、国家標準 SNI
管理を規定
(iv)保管・輸送・使用管理
(v) B3 廃棄物・事故対応

(1) B3物質の定義と分類
B3は、その性質、濃度、または量が、直接的・間接的に環境、健康、生存を汚染・破
壊・危険にさらす可能性のある物質と定義されています。
B3を以下の3つのリスト(カテゴリー)(*9)に分類しています。
(i)使用可能 (Dapat Dipergunakan): 登録すれば輸入・使用可能(例:硫酸、アンモ
ニアなど)。
(ii)使用制限 (Terbatas Dipergunakan): 特定の用途や通知が必要(例:水銀の一部
用途など)。
(iii)使用禁止 (Dilarang Dipergunakan): インドネシア国内での使用が一切不可(
例:アルドリン、DDTなど)。
リストは告示されています。
(2) 登録と通知の義務
登録 (Registrasi)は、 初めてB3を製造または輸入する者は、環境林業省(KLHK)へ
の登録(*10)が義務付けられています。
 B3 登録・通知制度P.36/2017ですが、事実上は PP 22/2021(*11) に吸収されて
います。
「使用制限」リストにある物質、または初めて輸入される新物質は、輸出国の当局か
らの同意(PIC)を伴う通知手続きが必要です。
PP 22/2021は、 従来の「環境許可(Izin Lingkungan)」を廃止して、事業許可(
Perizinan Berusaha)と統合した環境承認制度を導入しました。
B3 輸入は「環境承認(Persetujuan Lingkungan)」の対象となる事業活動とな
り、環境承認を事業許可の前提となる環境面の適合性判断 (AMDAL または UKL-UPL
の承認)が求められます。
B3 の輸入・使用・保管・廃棄は、環境に重大な影響を及ぼす可能性があるため、 事
業者は環境承認を取得した上で、輸入・使用に関する技術承認(Persetujuan
Teknis)を受ける必要があります。
B3 輸入に必要となる承認の構造は次となります。
(i)環境承認(Persetujuan Lingkungan)
事業者は以下のいずれかを取得します。
・AMDAL(環境影響評価)
・UKL-UPL(環境管理・監視計画)
これが 事業許可(Perizinan Berusaha) の前提となります。
(ii)B3 の輸入・使用に関する「技術承認(Persetujuan Teknis)」
技術承認は以下のような内容を含みます:
・B3 の輸入量・用途・保管方法の適合性
・SDS・ラベル(GHS)
・保管設備・安全対策
・廃棄物(Limbah B3)の管理計画

3.2 GHS分類
インドネシアの分類に適用されているGHS版番号は、第7版(Rev. 7)に基づく国家標
準(SNI)が最新となっています。しかし、行政規制としては第4版に基づく規則も依
然として適用されています。
(1)最新の国家標準(SNI)
2021年12月23日に公布されたインドネシア国家標準(SNI)SNI 9030-1:2021(ハ
ザード分類)およびSNI 9030-2:2021(SDSとラベル)は、GHSの第7次改訂版(Rev.
7)に基づいています。
(2) 行政規制(法的拘束力のある規則)
2013年4月に発効した工業大臣規則2013年第23号 (No. 23/M-IND/PER/4/2013) に基づ
く分類および情報伝達の要件は、GHSの第4次改訂版(Rev. 4)に準拠しています。
この大臣規則は、インドネシアでGHSを義務化している主要な法的文書であり、ラベ
ルおよびSDSの基本的な要素はこのRev. 4に基づいて定められています。
インドネシアでは、最新の国際規格に合わせたGHS Rev. 7ベースのSNIが存在します
が、法的な義務付けの根拠となる主要な行政規則はGHS Rev. 4ベースであるため、実
務上は両方の版の内容を確認し、法令要件(Rev. 4)を満たしつつ、可能であればよ
り新しい分類情報(Rev. 7)も考慮する必要があります。

 SNI強制認証対象製品がJETROで案内(*12)され、SNIのリストやFAQはBSN(Badan
Standardisasi Nasional 国家標準化庁)(*13)で確認できます。
インドネシアの規制は現時点では改革途中で整合性の取れない状況です。

4.新たな環境規制法の潮流

インドネシアの国家長期開発計画(RPJPN 2025-2045)および中期計画(RPJMN
2025-2029)に基づき、環境政策や化学物質・廃棄物管理がどのように移行していく
かのスケジュールとターゲットを整理します。インドネシアは「ビジネス・アズ・
ユージュアル(通常業務)」から「グリーン経済・循環型経済」への抜本的な転換期
にあります。 

(1)拡大生産者責任(EPR)の義務化と達成(?2029年)
-2029年末まで: Permen LHK No. 75/2019に基づき、製造業・小売業・飲食サービス
業の企業は、自社製品の廃棄物を30%削減することが義務付けられています。
-2029年以降: 現在は「ロードマップの提出と実施」に重点が置かれていますが、
2029年を境に行政罰(行政制裁)を伴う本格的な強制フェーズに移行する計画が示さ
れています。
(2)特定プラスチックの禁止(2030年への布石)
2029年12月31日まで: 以下の製品の段階的廃止(フェーズアウト)が求められていま
す。
-ストロー、レジ袋、プラスチック製カトラリーなどの使い捨てプラスチック
-PVC(ポリ塩化ビニル)およびPS(ポリスチレン/発泡スチロール)を使用した包装

-50ml/50g以下の小型パウチ(サシェ)製品
(3)化学物質管理のデジタル化と厳格化(2025年?)
-2025年以降: 新たな「環境保護・管理計画(RPPLH)」に基づき、B3物質(有害有毒
物質)の登録・通知プロセスが、より高度なデジタルシステム(SIRAITEなど)へ完
全に統合されます。
-排出モニタリング: 工場からの排水・排ガスデータのリアルタイム報告義務が、繊
維、化学、金属などの特定業種から順次拡大されます。

このようなEU規制に類似した規制強化の背景には、EUの環境・サプライチェーン関連
規制は、インドネシアにとって単なる「他国のルール」ではなく、輸出競争力を維持
するための必須要件となっていることが考えられます。
EUの規制に対応する形で、インドネシアが新たに制定・強化している規制法をご紹介
します。
(i) EU炭素国境調整措置(CBAM)への対応
EUが輸入品に対して炭素価格の支払いを求める「CBAM」の導入に対し、インドネシア
は独自の「炭素市場・炭素税」の構築を急いでいて、新たな規制法の大統領規則
2021年第98号(*14)を告示しました。
国家自主貢献目標(NDC)の達成努力、炭素経済価値の実施、透明性の枠組み、モニタ
リングと評価や温室効果ガス/温室効果ガス排出の管理に関する炭素経済価値を規定
しています。
国内で炭素取引(カーボンクレジット)を行うための法的枠組みで、 EUに支払う「
国境税」を回避するため、国内で炭素価格を徴収し、その資金を国内の脱炭素化に充
てる仕組みを2025年以降本格稼働させます。
2025年までに石炭火力発電所への炭素税導入を目指しており、将来的には鉄鋼、アル
ミニウムなどのCBAM対象品目へ拡大する方針です。

(ii)EU森林破壊防止規則(EUDR)への対応
パーム油、コーヒー、ゴムなどの主要輸出産品が「森林破壊に関与していない」こと
を証明しなければならないEUDRに対し、インドネシアはトレーサビリティ(追跡可能
性)を大統領規則2020年第44号(*15)として法制化しています。

(iii)EUバッテリー規則とエコデザイン(ESPR)への対応
EUがバッテリーの原材料から廃棄までを追跡する「バッテリーパスポート」を要求し
ているため、ニッケル大国のインドネシアはサプライチェーン全体の透明化を急いで
います。
インドネシア版バッテリーパスポート」として、採掘から輸出までのフローをデジタ
ルで管理するシステム「SIMBARA( Sistem Informasi Mineral dan Batubara)」(
*16)を拡張し、EUが求めるトレーサビリティ(採掘現場の労働環境や二酸化炭素排
出量)を証明できる体制を2030年までに完成させる目標です。
SIMBARAはニッケル、コバルト、ボーキサイト、銅、錫や石炭などの採掘 → 精錬 →
出荷 → 輸出を一元管理するものです。

インドネシアのEU法規制に調和させる動きがあります。インドネシアのこの動きはア
セアン諸国に大きな影響を与える可能性があります。
 インドネシアは改革途上であり、法規制動向に注視する必要があります。

*1:Visi Indonesia Emas 2045
https://indonesia2045.go.id/
*2:2024年法律第59号
https://peraturan.bpk.go.id/Details/299728/uu-no-59-tahun-2024
*3:Permen LHK 75/2019
https://jdih.maritim.go.id/cfind/source/files/permen-lhk/p_75_2019_peta_jalan_sampah_menlhk.pdf
*4:PP 28/2025
https://peraturan.bpk.go.id/Details/319773/pp-no-28-tahun-2025
*5:Permendag 20/2025
https://peraturan.bpk.go.id/Details/323161/permendag-no-20-tahun-2025
*6:BPOM規則 2025年第25号
https://peraturan.bpk.go.id/Details/333277/peraturan-bpom-no-25-tahun-2025
*7:BPOM規則 2025年第26号
https://peraturan.bpk.go.id/Details/333281/peraturan-bpom-no-26-tahun-2025
*8:有害有毒物質(B3)管理規則
https://sitkb3.menlhk.go.id/infomerkuri/wp-content/uploads/2018/10/3.-PP74-tahun-2001.pdf
https://peraturan.bpk.go.id/Details/53080/pp-no-74-tahun-2001
*9:B3 リスト
https://sib3pop.menlhk.go.id/pop
https://sib3pop.menlhk.go.id/uploads/Regulasi/PP742001b.pdf
*10:B3 登録
https://jdih.maritim.go.id/cfind/source/files/permen-lhk/permenlhk-nomor-p.36-tahun-2017.pdf
*11:PP 22/2021
https://peraturan.bpk.go.id/Home/Details/161852/pp-no-22-tahun-2021
*12:SNI強制認証対象製品
https://www.jetro.go.jp/view_interface.php?blockId=35625927
*13:BSN
https://pesta.bsn.go.id/
*14:大統領規則2021年第98号
https://peraturan.bpk.go.id/Details/187122/perpres-no-98-ta-
*15:大統領規則2020年第44号
https://ditjenbun.pertanian.go.id/template/uploads/2020/06/EN_Perpres-44-Tahun-2020-tentang-ISPO.pdf
*16:SIMBARA
https://esdm.go.id/id/media-center/arsip-berita/perkuat-tata-kelola-komoditas-mineral-pemerintah-luncurkan-pengembangan-baru-simbara


(一社)東京環境経営研究所 松浦 徹也
(2026年2月)

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