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BRICS+のEPR制度 (その2:ロシア、中国、南アフリカ、エジプト、エチオピア、イラン、アラブ首長国連邦、インドネシア、サウジアラビア)

IV.中国
§1 環境政策の特徴:循環経済への国家的転換
中国の環境政策は、単なる廃棄物処理の枠組みを超え、国家戦略としての「循環経済(サーキュラーエコノミー)」の構築を柱としています。
最大の特徴は、「政府による強力なトップダウン規制」とアリババ(Alibaba)のような「巨大ECプラットフォームによる民間主導の回収網」の高度な連携にあります。
アリババといった巨大企業が、自社の物流網を活用して実質的なEPR制度を先導しており、政府のデジタル追跡システムと連動することで、廃棄物の流れを透明化しています。
また、2021年の「プラスチック汚染対策の強化に関する意見」に基づき、使い捨てプラスチックの段階的禁止と生分解性プラスチックの普及を並行して進めるなど、「使い捨て」から「完全責任生産」への転換を鮮明に打ち出しています。
§2 EPR制度に関連する基本的な法律
中国のEPR制度は、複数の法律と実施要綱が階層的に組み合わさって運用されています。
(i) 基本法:循環経済促進法(中华人民共和国固体废物污染环境防治法 (中央人民政府)):
循環経済促進法(*1)は、中国における廃棄物管理の最上位法で、「減量化・資源化・無害化」を基本原則とし、プラスチックの過剰包装禁止、使い捨てプラスチック製品の制限、輸入廃棄物(洋ごみ)のゼロ化を法制化しました。また、第66条で電気電子製品、鉛蓄電池、自動車、動力バッテリーなどに対するEPR制度の確立を明記しています。
(ii) 固体廃棄物汚染環境防止法(2020年改正):
EPR制度の実施義務を明文化した実務上の最重要法規です。
(iii) EPR制度推進法案(2016年)(実施要綱(*2):
家電、鉛蓄電池、自動車、飲料パックの4品目を優先品目として指定し、制度を開始しました。
(iv) 固体廃棄物管理のための包括的行動計画(2026年1月発表)(*3):
最新の行動指針であり、宅配包装や家電への規制をさらに強化しています。

管理は生態環境部(MEE)が監督し、デジタル追跡システムを通じて企業の履行状況を監視しています。

§3 プラスチック包装材のEPR制度
プラスチックおよび包装材に関するEPR制度は、現在最も急速に制度化が進んでいる分野です。
(i) エコ設計(エコモジュレーション)の導入: 包装材のリサイクルしやすさに応じてランク付けを行い、それに基づいて手数料や税率を変動させる仕組みが本格化しています。環境負荷の低いデザインを採用した企業は、コストを大幅に削減できるインセンティブ構造となっています。
(ii) 宅配・EC包装への特化: 中国特有の巨大なEC市場に対応するため、宅配拠点における「循環型包装(再利用可能パッケージ)」の使用率向上を義務付けています。
(iii) 過剰包装の厳格な禁止: 食品や消費財の包装に対し、空隙率(隙間の割合)や包装の層数に厳格な基準を設け、基準を超えた製品の市場投入を制限しています。
(iv) 代替素材への転換: リサイクル不可能なプラスチックの禁止と並行し、生分解性プラスチックへの切り替えを強力に推進しています。

§4 2026年に求められる対応
2026年は、中国のEPR制度が「任意の取り組み」から「強制的かつデジタルな義務化」へと完全に移行する重要な年となります。企業には以下の対応などが求められます。
(i) リサイクル性評価への適合: 2026年より、包装材のリサイクル性評価が公的な手数料や税に直結し始めます。設計段階から「エコ・モジュレーション」を意識した素材選定が不可欠です。環境負荷が低いと判定された場合、コストを最大50%削減できる可能性がある一方、不適合な場合は市場参入が困難になります。
(ii) 過剰包装規制への厳格な準拠: 2026年以降、特定の消費財や食品における過剰包装の取り締まりが一段と厳格化されます。包装の層数やサイズの最適化が法的コンプライアンスの必須条件となります。
(iii) 循環型包装の使用率目標の達成: 2026年目標として、主要な宅配拠点における循環型包装の使用率を50%以上に引き上げることが求められています。物流網全体での容器回収・再利用スキームの構築が必要です。
(iv) デジタル報告と追跡への対応: 政府の包括的行動計画に基づき、デジタルシステムを通じた正確な廃棄物管理データの報告と、リサイクル実績の証明が強く求められるようになります。

V.ロシア
§1 環境政策の特徴:政府主導の「中央集権型」改革
ロシアの環境政策は、これまでの民間認定団体(Russian Environmental Operator PRO)を通じた分散型の仕組みから、政府による直接的な管理・統制へと抜本的にシフトしています。
最大の特徴は、政府直属の公社のロシア環境オペレーター(Russian Environmental Operator:REO」(Российский экологический оператор)による一元管理です。
2024年1月施行の改正法(No. 451-FZ)を契機に、廃棄物管理の「国有化」に近いモデルへと移行しました。デジタルプラットフォーム「E-EPR」を活用し、製造から廃棄までのトレーサビリティをリアルタイムで監視する体制を構築しています。
また、徴収された資金は「連邦環境保護基金(NFOŚiGW)」に集約され、自治体の廃棄物インフラ整備に直接投入される仕組みが定着しつつあります。これは、広大な国土における廃棄物処理の遅れを取り戻すための、極めてトップダウン的なアプローチです。
§2 EPR制度に関連する基本的な法律:連邦法 No. 451-FZ(Федеральный закон от 04.08.2023 № 451-ФЗ)
EPR制度の根拠法となる連邦法451-FZ(*4)は、ロシアのEPR制度を規定する最重要法規は、2015年に導入され、2023年末に大幅な改正が行われました。
(i) 責任主体の移行(重要変更点): 以前は「最終製品のメーカー(ブランドオーナー)」が責任主体でしたが、新制度では「包装材の製造者(メーカー)」へと責任が移行しました。これにより、管理対象を上流の包装材メーカーに絞り込み、捕捉率と管理効率を劇的に高めています。
(ii) 義務の選択肢: 企業は以下の3つのいずれかを選択して義務を履行します。
- 自社でのリサイクル実施
- 政府公認の「公式レジスター」に登録されたリサイクル業者への委託
- 政府への環境賦課金(Environmental Fee / Ecofee)の支払い

§3 プラスチック包装材のEPR制度:100%リサイクルへの道
プラスチック包装材は削減・リサイクルスケジュールが課されています。
(i) 「100%リサイクル」義務化: 2025年までに包装廃棄物の10%のリサイクル(または費用負担)が求められ、その後段階的に引き上げられ、2027年には「100%リサイクル」が義務化されます。これは、全量の回収・再資源化を行うか、全量分に相当する環境賦課金を支払うことを意味します。
(ii) リサイクル困難な素材へのペナルティ: 2025年以降、リサイクルが困難な多層ラミネートや特定のプラスチック素材に対しては、より高い賦課金率が設定されるなど、エコ設計(環境配慮型設計)への転換が強く促されています。
(iii) デジタルプラットフォームによる監視: すべての実績報告はデジタル上で行われ、REAがその整合性を厳格にチェックします。
§4 2026年に求められる対応:輸入者への新基準と財務保証
2026年は、2027年の完全義務化(100%)に向けた最終準備段階であり、特に日本等の非EAEU(ユーラシア経済連合)諸国からの輸入業者にとって非常に厳しい関門となります。
(i) 輸入時の「当日義務」と財務的保証: 2026年1月1日より、輸入者は製品が通関し消費に回される「当日」にリサイクル義務が発生します。通関前に以下のいずれかを用意しなければなりません。
- 環境賦課金(Ecofee)の支払い完了
- 銀行保証(Bank Guarantee)または保証契約の提示: 自社(または委託)でリサイクルを行う意向を示す場合、不履行時に備えた財務的保証が必須となります。
(ii) 公式レジスターの活用: リサイクル実績を認められるためには、政府の公式リストに登録された業者との契約が不可欠です。未登録業者への委託は実績としてカウントされません。

VI.南アフリカ共和国
§1 環境政策の特徴:社会的包摂とインフォーマル部門の統合
南アフリカの環境政策は、アパルトヘイト廃止後の社会正義に基づき、「環境保護」と「経済的格差の是正」を同時に達成しようとする点が最大の特徴です。
具体的には、人種差別廃止後の社会政策である「黒人経済権限付与(B-BBEE)」や、都市部で活動する「インフォーマルな廃棄物回収者(Waste Pickers)」の公的システムへの統合を重視しています。
ストリートで活動する回収者を生産者責任組織(PRO)が登録し、彼らへのサービス料支払いを制度化することで、貧困層の自立支援とリサイクル率向上を両立させています。

§2 EPR制度に関連する基本的な法律
EPR制度の基本法は、 国家環境管理:廃棄物法(NEMWA)(National Environmental Management: Waste Act (Act No. 59 of 2008))(*5)第18条に基づく「EPR規制 2021」(*6)です。
(i) 概要: 2021年5月に施行され、紙・包装材、電子廃棄物(E-waste)、照明器具の3分野を対象としています。
(ii) 義務の形態: 企業は政府公認のPROへの加入が義務付けられており、使用する素材の種類と重量に応じた「EPR手数料」を支払う必要があります。また、毎年、第三者機関による独立したパフォーマンス監査報告書の提出が義務付けられており、ガバナンスの透明性が極めて高く維持されています。

§3 プラスチック包装材のEPR制度
プラスチックに関しては、特に「キャリアバッグ(レジ袋)」に対する規制が先行しています。2023年以降、再生材含有率の最低基準が段階的に引き上げられており、最終的に「100%再生材」の使用を目標としています。

§4 2026年に求められる対応
2026年は、南アフリカのEPR制度が「運用の定着」から「厳格な執行」へと移行する年となります。
(i) 環境ラベリングの義務化: 2024年からの移行期間を経て、2026年にはすべての対象製品にリサイクル識別マーク等の環境表示が完全に義務化されます。
(ii) 預託金制度(DRS)の検討開始: 「国家廃棄物管理戦略2026」に基づき、既存のEPRで目標に届かない品目に対し、預託金返還制度(DRS)の導入準備が加速します。
(iii) 監査報告の徹底: 第三者機関による年次のパフォーマンス監査報告書の提出を怠った企業に対し、法的順守と罰則の適用がより厳格化されます。

VII.イラン・イスラム共和国
§1 環境政策の特徴:石油化学産業の保護とインフラ構築
イランの環境政策は、国内の強大な石油化学産業という経済基盤を保護しつつ、深刻化する都市廃棄物問題(特にプラスチックが30%以上を占める現状)に対処するという、複雑なバランスの上に成り立っています。欧米のような個別企業による回収義務よりも、製造・販売段階での「課税」と、それを用いた自治体による大規模な機械選別施設の構築という「公共インフラ主導型」のモデルを採用しています。
§2 EPR制度に関連する基本的な法律
EPR制度の代表法令は、2004年廃棄物管理法(قانون مدیریت پسماندها)(*7)および2022年プラスチック廃棄物管理施行規則(آیین‌نامه کاهش مصرف کیسه‌های پلاستیکی)(*8)です。
(i) 概要: 2004年の法律を起源とし、2022年の新規則でプラスチックへの監視を大幅に強化しました。
(ii) 義務の形態: プラスチック製最終製品の売上高に対し、一定割合(約0.5%)を「環境税(プラスチック税)」として徴収する仕組みが中心です。企業は個別の回収網を持つ代わりに、この税金を支払うことで公共のリサイクルインフラ構築を支援する形式が一般的です。

§3 プラスチック包装材のEPR制度
イランでは、石油資源が豊富なためプラスチック原材料が安価に供給されますが、その使い捨て文化を抑制するために、誘導型の規制を行っています。2024年以降、国内生産者に対して一定割合の再生材混入や、生分解性素材への転換を促すインセンティブ制度を拡充しています。EU型の複雑なスキームではなく、素材の「出口(処分施設)」の高度化に資金を集中させています。
§4 2026年に求められる対応
2026年現在は、特定の使い捨てプラスチック製品の段階的禁止と、税制優遇措置を組み合わせた「誘導と禁止」のフェーズにあります。
(i) プラスチック税の厳格適用: 売上高に基づく徴収がより厳密に行われ、リサイクル施設建設の原資として確保されます。
(ii) 生分解性素材への転換: 従来のプラスチックから生分解性素材への切り替えを行う企業に対し、大幅な税制優遇が適用される一方で、禁止対象品目(使い捨て袋等)の製造者への罰則が強化されます。
(iii) 製造者責任の強化: 2024年末からの流れを受け、製造者が製品の最終処分までに関与する度合いを深める新たなガイドラインの順守が求められます。

VIII.エジプト・アラブ共和国
§1 環境政策の特徴:ナイル川汚染防止と観光保護の直結
エジプトの環境政策は、国家の生命線である「ナイル川のプラスチック汚染防止」と、主要産業である「観光業の保護」を直結させている点が最大の特徴です。2020年の新法により、アフリカで最も組織的なEPR制度を構築しつつあり、飲料メーカーや消費財大手が参加するPROが主導する、トップダウンとボトムアップが融合したモデルを目指しています。
§2 EPR制度に関連する基本的な法律
EPR制度の基本法は 廃棄物管理法 No. 202/2020 (Law No. 202 of 2020 Regulating Waste Management)(قانون رقم ٢٠٢ لسنة ٢٠٢٠ بإصدار قانون تنظيم إدارة المخلفات)(*9)および 閣僚令 No. 662/2025(تطبيق المسئولية الممتدة للمنتج على أكياس التسوق البلاستيكية Prime Ministerial Decree No. 662 of 2025 on Applying the Extended Producer Responsibility (EPR) to Plastic Shopping Bags تطبيق المسئولية الممتدة للمنتج على أكياس التسوق البلاستيكية)(*10)です。
(i) 概要: 第18条でEPRを明確に定義し、製品の全生涯における環境負荷の責任を製造者・輸入者に課しています。
(ii) 義務の形態: 2025年の新令により、プラスチック包装材が正式に対象となりました。企業はWMRA(廃棄物規制局)に登録し、販売量に基づいた管理手数料を毎月納付し、WMRAが運営する基金へ拠出する義務があります。
§3 プラスチック包装材のEPR制度
エジプト独自の概念として、リサイクル可能性を可視化する「グリーンタグ(Green Tag)」制度が導入されています。
これは消費者が製品を識別できるようにするとともに、メーカーに将来の回収費用を前払いさせる(担保させる)仕組みです。特にPETボトルと多層ラミネート包装の回収率向上に重点を置いており、飲料業界が中心となって回収モデルを構築しています。

§4 2026年に求められる対応
2026年は、2025年に義務化されたプラスチック包装材規制の「完全実施」の年です。
(i) 登録と毎月の拠出義務: 製造者および輸入者は、WMRAへの登録を完遂し、販売量に基づいた手数料の毎月納付を遅滞なく行う必要があります。
(ii) データ報告の自動化: 年間の販売・輸入データをWMRAに報告する義務があり、これらを通じたデジタルプラットフォーム上での管理が求められます。
(iii) グリーンタグの貼付開始: 検討されていたグリーンタグ制度の段階的な適用が始まり、環境負荷の高い素材を使用する企業にはより重い拠出金が課されるようになります。

IX.アラブ首長国連邦(UAE)
§1 環境政策の特徴:埋め立てゼロと先端技術への投資
UAEは、限られた国土(砂漠地帯)における埋め立て地の不足から、世界で最も野心的な「廃棄物ゼロ(Zero Waste)」戦略を掲げています。先端技術への関心が非常に高く、ケミカルリサイクルやマスバランス方式、あるいは廃棄物発電(Waste-to-Energy WtE)といったソリューションを「グリーン製造業」として強力に奨励しています。持続可能な経済成長(SDGs)を国家ブランドとして位置づけ、連邦政府と各首長国(ドバイ、アブダビ等)が競い合うように厳しい規制を導入しています。
§2 EPR制度に関連する基本的な法律
EPR制度の代表法令は、閣僚決定 No. 98 of 2024 (リサイクル材の統合管理 UAE Policy for Integrated Management of Recyclable Materials(سياسة الإمارات للإدارة المتكاملة للمواد القابلة لإعادة ال ) (*11)および 連邦法 No. 12 of 2018(Federal Law No. 12 of 2018 on Integrated Waste Management(قانون اتحادي رقم (١٢) لسنة ٢٠١٨ بشأن الإدارة المتكاملة للنفايات))(*12)です。
(i) 概要: 飲料容器、プラスチック包装材、電子廃棄物を対象に、統合的な管理を求めています。
(ii) 義務の形態: 生産者に対し、一定の回収率の達成、または認可されたPROへの拠出金支払いを義務付けています。2024年に発表された「包装材のEPRガイドライン」に基づき、詳細な運用が行われています。

§3 プラスチック包装材のEPR制度
UAEの特徴は、2026年1月からの「使い捨てプラスチック製品(包装材含む)の輸入・流通禁止」という厳しい断絶措置にあります。
これにより、既存のプラスチック製品をリサイクルするフェーズから、素材そのものを代替素材(生分解性、紙、再利用可能容器)へ強制的に転換させるフェーズへと移行しました。

§4 2026年に求められる対応
2026年は、UAEにとって「プラスチック禁止」が現実となる歴史的な転換点です。
(i) 全面禁止への完全対応: 2026年1月1日より、禁止対象となったプラスチック製食器、バッグ、一部の包装材の輸入・流通が不可となります。企業は代替素材への転換を100%完了させていなければなりません。
(ii) 経済的実態報告(ESR)との連動: 経済物質規制(ESR)における報告の中で、廃棄物管理の順守状況を証明する必要があります。
(iii) 首長国別の上乗せ規制: 連邦法に加え、ドバイやアブダビといった各首長国独自の厳しい上乗せルール(より早期の禁止や高い手数料等)を同時に順守することが求められます。

X.エチオピア連邦民主共和国
§1 環境政策の特徴:資源の回復と汚染の終結
エチオピアの環境政策は、急速な都市化に伴うプラスチック汚染に対処するため、アメリカが提唱する「資源の回復(Resource Recovery)」という概念を色濃く取り入れています。単に「汚染を終わらせる」だけでなく、廃棄物を資源として再回収し、経済に再投入することに主眼を置いています。小規模な国内製造業者が多いため、個別に高度な回収網を強いるよりも、政府が管理する基金を中心とした集権的なモデルを採用しています。

§2 EPR制度に関連する基本的な法律
EPR制度の代表法令は、布告 No. 1211/2020 (プラスチックおよび電子廃棄物管理)(Proclamation No. 1211/2020: Pollution Control and Management of Waste Plastic and Electrical and Electronic Equipment የቆሻሻ ፕላስቲክ እና የኤሌክትሪክና ኤሌክትሮኒክስ መሣሪያዎች ብክለት ቁጥጥርና አስተዳደር አዋጅ ቁጥር ፩ሺ፪፻፲፩/፪፲፲፪)(*13)です。
(i) 概要: PETボトルと電子機器を重点品目として指定した、エチオピア初の包括的なEPR法です。
(ii) 義務の形態: 生産者は、独自のテイクバック(回収)システムを構築するか、政府の「環境基金」に資金を提供する必要があります。多くの企業は、事務的な負担を軽減するために基金への拠出を選択しており、この資金が公共のリサイクルインフラの整備に充てられます。

§3 プラスチック包装材のEPR制度
エチオピアでは、物理的な厚さに基づいた強力な規制が特徴です。厚さ0.03mm以下のプラスチック袋は全面的に製造・輸入が禁止されており、違反には厳しい罰金が課されます。これは、最も散乱しやすく回収が困難な「薄いプラ袋」を市場から排除することを優先した結果です。PETボトルについては、回収率を高めるためのデポジット的な仕組みの導入も検討されています。

§4 2026年に求められる対応
2026年、エチオピアのEPRは「基盤整備」から「実効性の向上」のフェーズに入ります。
(i) 0.03mm規制の徹底順守: 禁止措置が完全に定着した中、サプライチェーンの末端に至るまで非対象素材への切り替えが求められ、当局による抜き打ち検査が強化されます。
(ii) 環境基金への拠出と透明性: 基金への支払いを義務とする企業に対し、正確な生産量に基づいた拠出が求められ、その資金がどのようにリサイクルインフラに使われたかのフィードバックが重視されます。
(iii) テイクバック・スキームの報告: 独自の回収システムを選択した企業は、その実績をEFCCC(環境森林気候変動委員会)に報告し、目標達成を証明しなければなりません。

XI. サウジアラビア
§1 環境政策の特徴
サウジアラビアは「サウジ・ビジョン2030」の下、中東地域における環境リーダーシップを確立しようとしています。特にプラスチック管理に関しては、独自の技術規格(SASO)と、新しい廃棄物管理法に基づくEPRの導入を並行して進めています。
サウジアラビアの環境政策は、石油依存経済から「循環型炭素経済(Circular Carbon Economy: CCE)」への移行を核としています。
(i) サウジ・グリーン・イニシアチブ (SGI): 2060年までのネットゼロ達成を掲げ、廃棄物管理の近代化を国家の最優先課題の一つに据えています。
(ii) 「埋め立てゼロ」の追求: 2035年までに都市固形廃棄物の94%を埋め立てから回避(リサイクル・堆肥化・エネルギー回収)するという野心的な目標を掲げています。
(iii) 技術障壁と環境保護の両立: 伝統的なリサイクルだけでなく、化学的リサイクルや、後述するオキソ生分解性プラスチックの義務化など、独自の技術基準を市場参入の条件としています。

§2 EPR制度に関連する基本的な法律
サウジアラビアのEPRは、2020年に刷新された包括的な環境・廃棄物関連法に基づき運用されています。
(i) 改正環境法 (Royal Decree No. M/165)(*14):
すべての環境規制の母法であり、汚染者負担の原則を明文化しています。
(ii) 廃棄物管理法 (Royal Decree No. M/49)(*15):
2021年に制定されたこの法律がEPRの直接的な根拠です。生産者や輸入者に対し、製品のライフサイクル全体(設計・製造・廃棄)にわたる責任を課す権限を当局に与えています。
(iii) 執行機関
-MWAN (国立廃棄物管理センター)(*16):
EPRの制度設計、リサイクル目標の設定、生産者責任組織(PRO)の認可を担当。
-NCEC (国立環境コンプライアンスセンター)(*17):
法執行と監視を担当。

§3 プラスチック包装材のEPR制度
サウジアラビアのプラスチックEPR制度は、単なる「費用負担」に留まらず、「素材の適合性」が厳格に求められるのが特徴です。
(i) SASO規格による制限: サウジアラビア標準規格局(SASO)は、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)製の使い捨て包装材(厚さ250ミクロン以下)に対し、オキソ生分解性(Oxo-biodegradable)であることを義務付けています。これに適合し、SASO認証マークを表示しない製品は市場投入できません。
(ii) MWANによるEPR枠組み:
- 登録義務: 包装材を市場に投入する企業は、MWANのデジタルプラットフォームへの登録が順次義務付けられています。
- リサイクル目標: カテゴリー(硬質プラ、軟質プラ等)ごとに年間回収目標が設定され始めており、企業は自社回収または認定業者への委託証明を求められます。
- エコ・モジュレーション: リサイクルが困難な多層フィルム等には、高い環境賦課金(Fee)が設定される仕組みへ移行中です。

§4 2026年に求められる対応
2026年は、サウジアラビアがプラスチック条約(INC)の動向を踏まえ、国内規制を「完全義務化」へと移行させる重要な年となります。
(i) 再生材含有率(20%〜)の順守: 2026年以降、特定のプラスチック包装(特にPETボトルや硬質容器)において、最低20%以上の再生プラスチック使用が義務化、あるいは強力な推奨(非順守時のペナルティ)となる見込みです。
(ii) デジタル・トレーサビリティの確立: すべての輸入・製造データはMWANのシステムと連携させる必要があります。特に「どのプラスチックが、どこで回収・処理されたか」を証明するデジタル証明書の保有が必須となります。
(iii) オキソ生分解性から「循環性」へのシフト注視: 国際的な批判を受け、従来のオキソ生分解性義務化から、EUに近い「物理的・化学的リサイクル」への重点シフトが予想されます。2026年には、最新のSASO技術基準へのアップデート対応が求められます。
(iv) PRO(生産者責任組織)への加入: 個別対応が困難な企業は、MWAN公認のPROに加入し、正確な重量報告と手数料の支払いを行う体制を整えておく必要があります。

XII.まとめ
1. グローバル・スタンダードの受容と輸出競争力の維持
2026年現在、BRICS+諸国は国際的な環境規制を積極的に国内法へ取り入れています 。これは、グローバル基準への不適合が輸出競争力の喪失に直結するという危機感に基づく戦略的判断です 。
• 制度設計の標準化: 非OECD加盟国であっても、OECDのガイダンスを基に「汚染者負担原則」や「リサイクルクレジット取引」などの透明性の高いモデルを構築しています 。
• 法的強制力の強化: 国連プラスチック条約(INC)の進展に合わせ、ブラジルの「2026年プラスチック包装回収率32%義務化」のように、削減目標を努力目標から法的義務へと格上げしています 。
• 製造ラインの変革: EUの包装材規則(PPWR)への対応として、デジタル製品パスポート(DPP)やリサイクル設計(DfR)を製造現場に導入し、生産基準を国際レベルへ引き上げる動きが加速しています 。
2. リオ宣言の原則に基づく制度の最適化
各国の制度差異は、1992年の「リオ宣言」に基づき、それぞれの国情に合わせて最適化された結果です。
• 共通だが差異ある責任: 環境保護の共通責任を負いつつ、ブラジル等のモデルでは経済発展と貧困対策を両立させ、回収を担う社会的弱者(カタドーレス等)の支援や雇用創出を重視した設計を行っています 。
• 汚染者負担の原則: 廃棄コストを自治体から「生産者」へ転嫁し、環境コストを市場価格に内部化する仕組みがBRICS+全域で定着しました 。
• 人間中心の持続可能な開発: ブラジルの国家廃棄物政策法(PNRS)に代表されるように、インフォーマルな回収業者の権利保護や社会的地位向上を優先する姿勢が反映されています 。
3. 今後の展望
BRICS+のEPR制度は、地球規模の課題に対し、各国の社会構造に合わせた最適解を導き出すプロセスにあります。今後はデジタル技術による透明性の確保と、インフォーマル部門の正式な経済システムへの統合が加速し、より実効性の高い循環経済(サーキュラーエコノミー)の構築が期待されます 。


当説明内容は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制の解釈は必ず原文を参照してください。
本稿は、2026年2月末の情報でまとめています。
アメリカ、イスラエルによるイラン攻撃などで、各国で政府Webページのアクセス制限が強化され、接続も不安定です。
引用先のWebページも制限される可能性があります。法規制名はできるだけ公用語を入れておきましたので、公用語の法規制名で検索して内容をご確認ください。

引用
*1:循環経済促進法
https://www.mee.gov.cn/ywgz/fgbz/fl/202004/t20200430_777580.shtml
*2:EPR制度推進法案
https://www.nhc.gov.cn/bgt/gwywj2/201701/94420e57ed354344bfd19ff5d12c7f64.shtml
*3: 固体廃棄物管理のための包括的行動計画
https://www.mee.gov.cn/zcwj/gwywj/202601/t20260105_1139840.shtml
*4:451-FZ
http://publication.pravo.gov.ru/document/0001202308040061
*5:NEMWA
https://www.gov.za/documents/national-environmental-management-waste-act
*6:EPR規制 2021
https://www.gov.za/sites/default/files/gcis_document/202105/44539gon400.pdf
*7:2004年廃棄物管理法(Faolexは国連の専門機関)
https://faolex.fao.org/docs/pdf/ira159887.pdf
*8:2022年プラスチック廃棄物管理施行規則
https://irfederation.ir/reducing-plastic-packaging-consumption/
*9:廃棄物管理法 No. 202/2020
https://www.eeaa.gov.eg/Laws/56/index
*10:閣僚令 No. 662/2025
https://dspace.id.com.eg/items/84438018-469f-400a-b398-3d873b6c3be3
*11:閣僚決定 No. 98 of 2024
https://uaelegislation.gov.ae/ar/constitution/modifications/1789/download
*12:連邦法 No. 12 of 2018
https://www.informea.org/en/content/legislation/federal-law-no12-2018-integrated-waste-management
*13:布告 No. 1211/2020
https://www.epa.gov.et/images/PDF/Regulations%20And%20Directives/Electronic%20and%20Electrical%20Waste%20Management%20and%20Disposal%20Proclamation.pdf

*14:Royal Decree No. M/165
https://www.mewa.gov.sa/en/InformationCenter/DocsCenter/RulesLibrary/Docs/Executive%20Regulations%20for%20the%20Environmental%20Rehabilitation%20of%20Degraded%20Sites%20and%20Remediation%20of%20Polluted%20Sites.pdf
*15:Royal Decree No. M/49
https://faolex.fao.org/docs/pdf/sau208390.pdf
*16:MWAN
https://mwan.gov.sa/en
*17:NCEC
https://ncec.gov.sa/
(一社)東京環境経営研究所 松浦 徹也

(2026年6月)

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