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EPR制度の潮流 (その1 OECDとEUの状況)

【1.EPR制度の潮流 (その1 OECDとEUの状況)】
このところ、世界各国で拡大生産者責任(Extended Producer Responsibility:EPR )の義務を課す法規制(以下EPR制度と略記)が増えてきているようです。各国のEPR制度は、OECDのEPRガイドラインを基本としていますが、要求内容に差異があります。

1. OECDのEPRガイドラインについて
OECD(経済協力開発機構)は、EPR制度の概念を1990年代から提唱しており、各国政府が制度を設計・運用する際の「世界標準」となるガイドラインを定期的に発行しています。
1.1 主要な報告書とその概要
(1)拡大生産者責任:効率的な廃棄物管理のためのガイダンス改訂版 (2016年)(*1)
世界で最も参照されているEPR制度のバイブル的文書です。2001年の初版を大幅にアップデートし、現代の複雑なサプライチェーンに対応した次のような事項のガイダンスを示しています。
(i)EPR制度の定義: 責任を自治体から生産者へ移転し、環境配慮設計(DfE)を促すこと。
(ii)ガバナンス: 生産者責任組織(PRO)の役割と透明性の確保。
(iii)エコ・モジュレーション: リサイクルしやすい製品の拠出金を安くする料金体系の推奨。
 エコ・モジュレーション(Eco-modulation)とは、EPR制度において、「製品の環境負荷に応じて、生産者が支払う手数料(拠出金)を増減させる仕組み」のことです。簡単に言うと、「リサイクルしやすい製品を作れば拠出金が安くなり、環境に悪い製品を作れば高くなる」という経済的インセンティブ制度です。
生産者は、製品を市場に出す際に「生産者責任組織(PRO)」に拠出金を支払いますが、その単価が以下の基準(基準項目)によって変動します。
(i)ボーナス(減額): リサイクル材(再生プラスチック等)を一定割合以上使用している。
-単一素材(モノマテリアル)で構成され、分別が容易。
-修理がしやすく、製品寿命が長い。
(ii)ペナルティ(増額):
-リサイクルを妨げる着色剤、ラベル、接着剤を使用している。
-複合素材(プラスチックとアルミの貼り合わせ等)で分離が困難。
-有害物質(PFASや重金属など)を含有している。
(iii)オンライン販売対応: 越境ECを通じた「フリーライダー(義務逃れ)」問題への対策。

1.2基本的事実と主要原則
近年のプラスチック汚染対策やサーキュラーエコノミー(循環経済)への関心の高まりを受け、EPR制度の核心的な原則を簡潔に再定義した政策ペーパーが2024年に公開されました。
(i) EPR制度を「単なるリサイクル費用負担」ではなく、「資源効率性の向上」のための戦略的ツールとして定義。
(ii) プラスチック、繊維、電子機器など、特定のセクターにおける最新の成功事例と課題の提示。
 OECDのガイドラインや2024年に公開された政策ペーパーなどはOECDのEPR総合ポータル(*2)に集約されています。また、ガイドラインについては、国立環境研究所(IGES) が日本語要約版 (*3)を公開しています。
OECDのEPRガイダンスを土台とした各国の規制において、「世界共通」と言えるほど広く普及している対象品目は、主に以下の5つです。
これらの品目は「有害性が高い」「不法投棄の影響が大きい」「資源価値が高い」などの理由から、多くの国で優先的にEPR制度の対象とされています。
(i) 包装材
(ii) 電気電子機器(E-waste / WEEE)
(iii) 電池・バッテリー(Batteries)
(iv) 自動車(End-of-Life Vehicles: ELV)
(v) 廃油・タイヤ・塗料(特定産業廃棄物)
ことに、プラスチック包装材規制が多くの国で対象としています。背景には、OECDが「プラスチック汚染を2040年までにゼロにする」という目標に向けたシナリオ分析(2024年11月発表)を行っており、その中でEPR制度を「最も重要な政策手段の一つ」と位置づけていることもあります。

2. 国連プラスチック条約について
国連環境計画(UNEP)主導で進められている条約(正式名称:プラスチック汚染に関する法的拘束力のある国際文書)(通称:国連プラスチック条約)において、OECDのEPRガイダンスに示されている義務が重要な「実施手段」の一つとして位置づけられています。
約において、EPR制度は単なる推奨事項ではなく、条約を実効的に運用するための「中心的なエンジン」として位置付けられています。
スケジュールは以下となっています。
(i) 条約の状況は、2024年末の韓国・釜山での交渉(INC-5)を経て「釜山パッケージ」に基づく最終合意の批准プロセスに移行しています。
条約では、EPR制度が「プラスチック汚染を止めるための最も重要な政策手段」の一つとして全締約国に対するEPR制度の導入義務が明記されています。
(i) 義務化: 条約を批准した国は、自国内でプラスチック包装材や特定の製品カテゴリに対するEPR制度を確立・運用することが義務付けられました。
(ii) グローバル・スタンダードの確立: これまでバラバラだった各国のEPR制度を、OECDのガイドライン等に基づき、一定の共通基準(報告形式や透明性など)で統合していく流れが示されました。
エコデザイン(設計責任)の強化を求めています。
(i) リサイクル性の定義:国際的に「リサイクル可能」と呼べる製品の基準が統一されます。リサイクル困難な複合素材や特定の添加剤(難燃剤、可塑剤)の使用制限がEPR制度の評価軸に直結します。
(ii) エコ・モジュレーションの推奨: 循環型設計を採用した企業の拠出金を減額し、環境負荷の高い製品に高いコストを課す「経済的インセンティブ」の導入が各国に求められます。

釜山パッケージによる禁止・制限リストは、条約の附属書としてまとめられています。附属書では、「問題のある、または回避可能なプラスチック製品(Problematic and Avoidable Plastic Products)」および「懸念される化学物質(Chemicals of Concern)」として分類されています。
禁止・制限プラスチック製品は、「再利用・リサイクルが困難」または「環境流出リスクが高い」として、「使い捨てプラスチック製品」が段階的な削減または製造・輸出入の禁止が検討されています。
(i)カトラリー(ナイフ、フォーク、スプーン)、皿、ストロー、マドラー
(ii)ポリスチレン製(発泡スチロール)の食品容器およびカップ
(iii)プラスチック軸の綿棒
-意図的に添加されたマイクロプラスチック:
(iv)化粧品(スクラブ剤)、洗剤、肥料のコーティング等に含まれるもの
-特定の包装形態:
(v)果物・野菜の過剰な個別包装
(vi)宿泊施設での小型アメニティボトル
-非分解性・難リサイクル資材:
(vii)オキソ分解性プラスチック(断片化してマイクロプラスチック化するため)

プラスチックの「リサイクル性」を阻害、あるいは健康・環境リスクがあるとして制限される懸念される化学物質・添加剤物質もリストされます。
(i)特定の着色剤: カーボンブラック(光学選別機でのリサイクル選別を妨げるため)
(ii)有害な添加剤:特定のフタル酸エステル類(可塑剤)・臭素系難燃剤(BFRs)
(iii)PFAS:防水・防汚目的で使用されるもの
(iv)重金属: 鉛、カドミウム、水銀、六価クロム等の化合物
 これらのリストはダイナミックに更新されます。

2026年2月7日、ジュネーブで開催されたINC-5.3において、新議長が選出されました。新議長はフリオ・コルダノ氏(Julio Cordano / チリ)で、チリ外務省の環境・気候変動・海洋局長を務める外交官です。
今回のINC-5.3は、実質的な条約案の交渉ではなく「組織体制の立て直し」のみを目的とした1日の臨時会合でした。
釜山パッケージの最後の詰めが進展していなく、新たな進め方を目指す意図があったようです。
例えば、これまでINCは「全会一致(コンセンサス)」を重視してきましたが、IC5.3は投票が実施されました。
「投票」による決着これは、今後の実質的な交渉(生産規制など)においても、行き詰まった場合に投票という手段が使われる可能性を示唆する大きな転換点となりました。
2025年8月のINC-5.2で前議長が辞任し、交渉は完全にストップしていましたが、これでようやく「INC-5.4(仮)」に向けた体制が整いました。
新議長のフリオ・コルダノ氏は、環境保護に積極的だが、外交的な妥協点を見出すのが得意で、「野心とバランス」との評判です。
新議長の選出により、再び実質的な条約交渉が始まります。
NC-5.4(次回の実質交渉)は、 2026年後半に開催される見通しですが、具体的な場所と日程は今後数週間以内に発表される予定です。
条約採択の目標は、 当初は2024年末が目標でしたが、2026年内、あるいは2027年初頭までの最終合意を目指す流れとなっています。
新議長のコルダノ氏は「プラスチックの全ライフサイクル(生産から廃棄まで)をカバーする野心的な条約」を支持する姿勢を見せています。EUの「デジタル製品パスポート(DPP)」のような透明性の確保や、プラスチック生産量の削減、有害化学物質の規制といった議論が加速する可能性があります。
 条約に関する情報はUNEP(*4)や環境省(*5)から入手できます。

このように、EPR制度は「推奨される政策ガイドライン」から「国際的に合意された法的義務」へと昇格しようとしています。

3.EUのEPR制度の潮流
3.1 PPWRとEPR制度
包装および包装廃棄物規則((EU)2025/40  PPWR)(*6)はEUのEPR制度の理念を具現化したフラッグシップ規制と言えます。PPWRは、単にゴミを回収するだけでなく、製品設計から流通、再利用までを管理する「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」への転換を次のようにEPR制度の手法を用いて強制しています。
(1)「廃棄物処理」から「循環設計」への責任拡大
従来のEPR制度は「捨てられた後の費用負担」に重きを置いていましたが、PPWRは「捨てる前の設計」をEPR制度の責任範囲に完全に組み込みました。
(i) 理念の体現: 生産者は、リサイクルできない包装材を市場に出すこと自体が「責任放棄」とみなされます。
(ii) 実務: すべての包装材に「リサイクル性評価」を義務付け、基準を満たさないものは販売禁止、または高額な拠出金を課す仕組みになっています。

(2)エコ・モジュレーションの法制化
「エコ・モジュレーション」を、EU全域で義務化しています。
(i) 理念の体現: 「環境負荷が低い設計ほど経済的に得をする」という、OECDのEPR理念を最も純粋に制度化しています。
(ii) 実務: 再生材(リサイクルプラスチック)の使用率や、モノマテリアル化の度合いによって、PRO(生産者責任組織)への支払額が変動します。

(3)「所有」から「利用・再利用」への転換
PPWRは、単にリサイクルすることよりも、「再利用(リユース)」を上位の責任として位置づけています。
(i) 理念の体現: 「製品を売って終わり」ではなく、「容器を回収し、再び利用可能な状態で維持する」という、より高度な生産者責任を求めています。
(ii) 実務: B2B輸送用包装(パレット等)など、特定の資材において高い再利用目標値を設定しています。

(4)デジタル化による「透明性と追跡」
PPWRはデジタル・プロダクト・パスポート(DPP)との連動を前提としています。
「どこで、どの素材が、どれだけ使われたか」という情報を透明化することが、現代のEPR制度における「説明責任(Accountability)」であるという理念を具体化しています。
このため、QRコード等を通じた素材情報の開示や、リサイクル実績のデジタル報告が不可欠となっています。

包装材は、ほぼすべての製品に付随し、かつ短期間で廃棄されるため、EPR制度の効果が最も劇的に現れる分野と言えます。EUにとって、PPWRは他の製品(繊維、家具、電子機器)に対する「EPR制度のテンプレート」であり、包装材で成功したモデルを他の全産業に展開していくという強い意志が示されています。

3.2 PPWRの状況
2026年は、PPWRは正式適用(2026年後半〜)に向けた「最終準備フェーズ」です。
直接適用への変化: これまでの「指令」は各国の国内法に委ねられていましたが、「規則(PPWR)」は全加盟国に一律で直接適用されます。
製品に対する包装の空間率を「最大40%以下」に抑える義務や、特定の使い捨てプラスチック(宿泊施設のアメニティや果物の個別包装など)の禁止措置が、いよいよ実効性を持ち始めています。
(1)デジタル・プロダクト・パスポート(DPP)の統合
包装材単体ではなく、製品本体のDPPと連携し、包装材の素材、リサイクル性、再生材含有率をデジタルで報告・追跡する仕組みが、一部の先行カテゴリー(バッテリー等)から順次適用されています。
(2)分別ラベルの共通化
フランスの「Trimanロゴ」やイタリア独自の表示などが、EU共通のピクトグラム(分別マーク)に順次統合され始めています。
これまで国別にパッケージを刷り分けていたコストが削減される見通しですが、移行期間中は新旧ロゴの併記やステッカー対応などの過渡期的な負担が生じています。
(3)エコ・モジュレーション(拠出金の差別化)の強化
PRO(生産者責任組織)に支払う拠出金が、より厳格に「リサイクルしやすさ」で判定されるようになりました。
リサイクルが容易な単一素材(モノマテリアル)は安く、リサイクル困難な複合素材や黒色のプラスチック(選別不能)は、非常に高い拠出金(ペナルティ)を課される仕組みが全域で定着しています。

3.3 加盟国の包装材のEPR制度の状況
 EPR制度の個別規制は加盟国が担いますが、ドイツ、フランス、イタリアなどでバラバラだったルールが「EU共通化(ハーモナイゼーション)」に向かい始めました。

(1)ドイツ
ドイツは、包装法 (VerpackG)で徹底した透明性と「1gでも市場に出すなら登録」という非常に厳しい姿勢をとっています。
(i)LUCID登録: 製造者や輸入者は、中央登録局(ZSVR)のオンラインポータル「LUCID」に自ら登録する必要があります。この登録番号がないと、ドイツ国内での販売は法的に禁止されます。
(ii)二重の義務: 「LUCIDへの登録」と「PRO(リサイクル業者)との契約・支払い」の両方を完了させる必要があります。
(iii)マーケットプレイスの責任: AmazonやeBayなどのプラットフォームは、出店者がLUCID番号を持っていない場合、販売を停止させる法的義務を負っています。
ドイツでは、中央登録局(ZSVR)(*7)が包装法(VerpackG)の全文、リサイクル性の評価基準(Minimum Standard)や登録義務の対象判定などを案内しています。また、法律の解釈や運用ルールを詳細に告示しています。
 LUCIDのポータル(*8)で告示やニュースが案内され、実用的なFAQ(*9)もあります。

(2)フランス
フランスはEU のWFD指令(2008/98)を国内法に転換した「廃棄物防止・循環経済法」(Anti-Gaspillage pour une Économie Circulaire:AGEC法)(L.2020-105)(*10)でEPR制度の義務を課しています。

包装材は規則R543-42(*11)などで包装材の要件を規定しています。

フランスは「ゴミを減らす設計」と「消費者の分別」を最も重視しています。
(i)TrimanロゴとInfo-tri: フランス市場に出す全ての家庭用包装材に、Trimanロゴ(リサイクル可能マーク)とInfo-tri(分別指示イラスト)を表示しなければなりません。これはステッカー不可(原則印刷)という厳しい運用です。
(ii)エコ・モジュレーション: リサイクルできない素材(プラスチックと紙の混合など)には、拠出金が最大で100%加算(2倍の支払い)されるペナルティがあります。
(iii)UIN(一意識別番号): 生産者はADEMEから発行されるUINを取得し、請求書や一般利用規約に記載する必要があります。

フランスでは、環境エネルギー管理庁(ADEME)(*12)がフランスのEPR制度のスキームを説明しています。
 フランスのPRO(リサイクル業者)は、CITEOがほぼ独占しており、AGEC法に基づく「Trimanロゴ」の表示義務などを説明(*13)しています。

(3)イタリア
イタリアは環境法 (DECRETO LEGISLATIVO 3 aprile 2006, n. 152)(*14)の第4章より包装材やEPR制度の義務を課しています。
(i)包装材のEPR制度とCONAIへの加入義務
生産者の責任: 包装材を製造・輸入・使用するすべての事業者は、その廃棄段階における回収・リサイクルに責任を負うことが義務付けられています。
CONAI (全国包装コンソーシアム): 事業者はCONAI(または自前の回収システム)に加入し、素材に応じた「拠出金」を支払う必要があります。
(ii) 環境ラベル表示義務
イタリア市場に流通するすべての包装材に以下の情報を表示することが義務付けられています。
-素材の識別(B2B・B2C共通): 意思決定2012/9/12/EU(旧97/129/EC)に基づき、素材識別コード(Alpha-numeric code)(例:PET 01, PAP 21等)で素材を明示すること。
-分別方法の指示(B2C向け): 一般消費者向け製品については、イタリア語で「廃棄先のゴミ箱」を指示する文言を記載すること。
-デジタル・ラベルの容認: スペースが限られている場合、QRコードなどを用いてオンラインで情報を提供することも認められています

包装コンソーシアム(CONAI)(*15)が実務告示を行っています。
イタリアで義務付けられている「環境ラベル(素材識別コード)」の表示に関する具体的かつ公式なガイドライン(*16)もCONAIで告示しています。

4.EUのEPR制度の簡素化の動向
2025年末から2026年にかけて、EU委員会は企業の行政負担を軽減するための包括的な簡素化パッケージ(環境オムニバス法案:Environmental Omnibus)を提案し、現在その具体化が進んでいます。
背景には、複雑すぎる規制が企業の競争力を削いでいるという批判があり、「官僚主義の削減(Red Tape Reduction)」として、特にEPR制度に関しては「国ごとの重複した手続き」を解消する大きな一歩が検討されています。主なポイントは以下の3点です。

(1) 認定代理人(AR)設置義務の撤廃
日本企業などがEU域内で販売する場合、販売する「国ごと」に法的責任を負う認定代理人(Authorised Representative)を置く必要があり、これが多大なコストとなっていました。
(i) 簡素化の内容: EU域内のいずれか1カ国で生産者としての義務を果たしていれば、他の国境を越えた取引において、国ごとの代理人設置を不要にする案が浮上しています。
(ii) メリット: これにより、EU全域に展開する際の拠出金や事務手続きが大幅に削減されます。
(2)デジタル・ワンストップ・ショップ(一括登録窓口)の構想
現在、EPR制度による登録先は国ごとにバラバラですが、これをデジタルで統合しようとする動きがあります。
(i) 検討内容: 「Digital One-Stop Shop」と呼ばれる共通ポータルを通じて、一度の登録で複数国のEPR制度の要件を管理できる仕組みが議論されています。
(ii) 背景: 2026年8月から適用される新しい包装・包装廃棄物規則(PPWR)との整合性を図り、企業の報告義務をデジタル化によってスマートにする狙いがあります。

「Environmental Omnibus」に関連する、EU委員会の規制簡素化と事務負担軽減の動きは、フォン・デア・ライエン委員長が掲げた「報告義務の25%削減」という目標に基づき、複数の環境規制(EPR制度を含む)をまとめて効率化しようとする一連の提案(Omnibus proposals)(*17)に関連しています。
報告義務の削減に向けた具体的な提案(Omnibus proposals)の一覧や、進捗状況が公開されています。
2024年から2025年にかけて提案された「環境分野の報告義務の簡素化」に関する具体的な法案リストが含まれています。(*18)

(2)EPR制度の簡素化に関する具体的な提案内容
EPR制度の「認定代理人(AR)」義務の撤廃やデジタル化に関する議論は、環境分野の報告義務を整理するための具体的な法案(suspending the application of the rules on the appointment of authorised representatives for extended producer responsibility for waste, waste electrical and electronical equipment and single use plastic waste  COM(2025) 983 final)(*19)が「Environmental Omnibus」的な役割を果たしています。

 国連プラスチック条約も新たな一歩を踏み出しました。この潮流でエコ・モジュレーションも各国で具体的になり、厳しくなると思われます。
次回はアメリカの州法とBRICSの動向を解説します。

当説明内容は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制の解釈は必ず原文を参照してください。

引用
*1:2016年ガイダンス改訂版
https://www.oecd.org/en/publications/extended-producer-responsibility_9789264256385-en.html
*2:OECD EPR総合ポータル (解説・関連文書一覧)
https://www.oecd.org/en/topics/extended-producer-responsibility-and-economic-instruments.html
*3:日本語要約版 (IGES/国立環境研究所)
https://pub.iges.or.jp/pub/epr-guidance
*4-1:UNEP INC-5 公式ドキュメントページ
https://www.unep.org/inc-plastic-pollution/session-5/documents
*4-2国連プラスチック条約 総合ハブ
https://www.unep.org/inc-plastic-pollution
*5:環境省の解説資料
https://www.env.go.jp/press/press_00461.html
*6:PPWR
https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX%3A32025R0040
*7:ZSVR (Zentrale Stelle Verpackungsregister)
https://www.verpackungsregister.org/en/information-orientation/the-packaging-act/the-act-at-a-glance
*8:LUCIDポータル
https://www.verpackungsregister.org/en/information-orientation/news-and-events/news-overview
*9:LUCIDのFAQ
https://www.verpackungsregister.org/en/faq
*10:L.2020-105
https://www.legifrance.gouv.fr/loda/id/LEGISCTA000041554510
*11:R543-42
https://www.legifrance.gouv.fr/codes/section_lc/LEGITEXT000006074220/LEGISCTA000006176996/#LEGISCTA000006176996
*12:ADEME
https://www.ademe.fr/expertises/dechets/elements-contexte/filieres-a-responsabilite-elargie-producteurs-rep
*13:Trimanロゴの配置ルール
https://www.citeo.com/communication-responsable/info-tri/
*14:イタリアの環境法
https://www.isprambiente.gov.it/it/garante_aia_ilva/normativa/normativa-ambientale/Dlgs_152_06_TestoUnicoAmbientale.pdf
*15:CONAI
https://www.etichetta-conai.com/en/
*16:CONAIのガイドライン
https://www.conai.org/en/news/environmental-labeling-guidelines-and-e-label-site-available/
*17:Reduction of administrative burden (European Commission) https://commission.europa.eu/law/law-making-process/better-regulation_en
*18:2024 Commission Work Programme (Annex I & II)
https://commission.europa.eu/strategy-and-policy/strategy-documents/commission-work-programme/commission-work-programme-2024_en
*19:COM(2025) 983 final
https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=celex:52025PC0983
(一社)東京環境経営研究所 松浦 徹也
(2026年3月)

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