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レトロフィット技術の成長

国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の締約国会議COP28(Dubai, UAE 2023)が2023年11月30日から12月12日に開催されます。
メディアも「1.5℃の約束-いますぐ動こう、気温上昇を止めるために。」の気候キャンペーンとして様々な情報発信をしています。
COP3(1997年)で採択された京都議定書で2020年目標が定められ、COP21(2015年)で2020年以降の取り組みを決めるパリ協定が採択されました。
パリ協定では、「世界の平均気温上昇を産業革命以前と比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃以内に抑える努力をする」という世界共通の長期目標が掲げられ、「今世紀後半に温室効果ガスの人為的な排出と吸収のバランスを達成」するビジョンが示されました。
COP26(Glasgow, UK 2021)で、「1.5℃」が努力目標から目標に格上げされました。
IEAのWorld Energy Outlook 2023 (*1)では、化石燃料時代の脆弱さとそれが地球にもたらす危険は明らかとし、新たなクリーンエネルギー経済における機会は急速に拡大しているとしています。
しかし、新旧のエネルギーサプライチェーンの回復力、移行の安全性と手頃な価格に対するリスク、そして気候変動による非常に深刻な影響を回避するために変化のプロセスが十分に迅速であるかどうかについては、多くの不確実性が残っているとしています。
 化石燃料の代表である石油需要について以下のまとめをしています。
・過去20年間で1日あたり1800万バレル(mb/d)増加し、この増加の大部分は、道路輸送における需要の増加による
・過去20年間で世界の自動車保有台数は6億台以上増加し、道路貨物輸送の活動は約65%増加した。
・現在、道路輸送は全世界の石油需要の約45%を占めている。
・電気自動車(EV)の販売急増が、道路輸送における石油需要に影響を与え始めている。
・ガソリンとディーゼル車、二輪/三輪車、トラックの販売はすでにピークを迎え、EVが全世界の自動車販売の4%を占めた。
・内燃機関(ICE)バスの販売も、STEPS(公表政策シナリオ)においては2020年代半ばにピークを迎え、新興市場と開発途上経済国での電気バスの導入が特に急速に進んでいる。
・今後10年の終わりまでに、道路輸送は石油需要の成長源ではなくなり、石油需要は2030年前にピークを迎えるが、ピークからの減少はSTEPSにおいて2050年まで緩やかなものとなる。

EUでは、2035年からディーゼルおよびガソリンエンジンを搭載した新車を段階的に廃止するとし、排ガス規制のEuro 7案(*2)を検討しています。
Euro7基準の規則は、すなわち、自動車、バン、バス、トラックなど、すべての自動車の排出限度を一連の規則の下に統一し、燃料と技術について特定の技術に依存しないで、車両がガソリン、ディーゼル、電気駆動系、または代替燃料を使用するかどうかに関係なく、同じ限度を設けるものです。
例外として2035年以降も環境に優しい合成燃料(e-fuel)を燃料とする自動車は、販売を継続可能にすることやEuro 7の基準の緩和などの見直しはありますが、2050年までに「気候中立(温室効果ガスの排出=ゼロ)」を目指す方針は揺らいでいません。

一方で、販売済車両の平均買い替え年数を11年程度と見込んでいますが、新車販売制限だけでは、石油需要は急激に減少するのは難しいことです。ことに発展途上国では、買い替え年数が長く、従前の販売済車両対策の重要性が高まっています。
すでにEUの自動車メーカーが、内燃機関車両のガソリン/ディーゼルエンジンと燃料タンクを取り外して、それらを電気モーターとバッテリーに置き換えて電気自動車に仕立てるレトロフィット技術を取り入れています。
日本でも、大型ディーゼルエンジンの燃料として、環境に優しいLPG(LiquefiedPetroleum Gas)に類似しているDME(ジメチルエーテル)が開発されています。
 
最も一般的なレトロフィット技術は、エンジン排気後処理技術です。これは、エンジンや車両の操作に悪影響なしで、排出を減らすための排気システムを組み込むものです。
触媒の開発や効率的な条件の研究も進んでいます。

EU以外でもアメリカのEPAもレトロフィット技術を推奨しています(*3)。
レトロフィット技術は、認証済みのエンジン構成からさらに排出を減らすために追加できる製品です。
レトロフィット技術が2050年に向けての移行技術として注目を集めると思われます。

引用先
(*1) World Energy Outlook 2023 - IEA
https://www.iea.org/reports/world-energy-outlook-2023
(*2) Euro 7 standard proposal
https://single-market-economy.ec.europa.eu/publications/euro-7-standard-proposal_en
(*3) Learn about Verified Technologies for Clean Diesel https://www.epa.gov/verified-diesel-tech/learn-about-verified-technologies-clean-diesel

(一社)東京環境経営研究所
 

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