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連載:また来たchemSHERPA

 

その1 アーティクルフラグ
chemSHERPAがVer.2になってから、アーティクルフラグというものができました。成分情報画面で左上メニュー表示から ファイル→Articleフラグ表示とすると、部品の列と材質の列にArticleフラグが表示されます。
これは一体何なのかとchemSHERPAの入力マニュアルを見ると、19ページにおよそこのようにあります(要約)。
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・REACH規則第3条が定義する”Article”に該当する場合に”on”を選択。
・成分→遵法判断情報変換時に、濃度計算の分母となる質量を当該フラグで判断する。
設定されたフラグを変更したい場合のみ、メニューバーから「Articleフラグ表示」をクリックして、Articleフラグを表示させて変更する。
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つまり何がArticleなのかREACH関係文書をよく読んで、Articleを正しく設定しろ、ということですね。いえこういう言い方をしてはいけません。Ver.2になって、Articleを正しく設定できるようになった。のです。
「REACH規則第3条が定義する”Article”」がわからないと判断できないので、REACH理解の基本であろう「REACH 規則の成形品に関するガイダンス(第4版)」を読むことになります。
https://echa.europa.eu/documents/10162/23036412/articles_en.pdf/cc2e3f93-8391-4944-88e4-efed5fb5112c
何がアーティクルか、例をあげて9ページに渡って英語で説明してあります。
クレヨンがミクスチャーだというのが面白いですね。あれはてっきりアーティクルだと思ってました。他にもいくつか例示があり、判断のためのフローチャートもあります。これらを見て自己責任で(chemSHERPA式に言えば「責任ある情報伝達」)どれがArticleなのか判断して、Articleフラグを正しく設定しなければいけない訳です。
いえこういう言い方をしてはいけません(しつこい)。

付録 アーティクルフラグ(番外編)
chemSHERPAのマニュアルではアーティクルフラグをどう説明しているかと「アーティクルフラグ」を検索しました。すると何もヒットしません。おいおい。と思ってネット検索したのがまずかった。(「Articleフラグ」ならヒットすることを後で知りました。始めに知っとけ)
いくつか資料が出てきました。
https://chemsherpa.net/news/chemsherpa/?p=1555
https://chemsherpa.net/wp-content/uploads/2019/07/Sympo_chemSHERPA_Ver.2_Overview_20190612_b.pdf
https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/H30FY/000110.pdf
これらの資料には、概ねこのように書いてあります。
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基本的に成分情報の末端に定義される「部品(原部品)」が、ファーストアーティクル(アーティクルと判断されるべき最小単位)に該当すると考え、成分情報作成時、自動的にこの「Articleフラグ」を設定する。これを修正したい場合にのみ、メニューバーから「Article フラグ表示」を選択し、Article フラグを表示させて修正する。
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意味、わかります?
文章的には、ファーストアーティクルにArticleフラグがつく、と読めます。しかしアーティクルに「ファースト」という接頭語を付ける意味がわからない。ファーストアーティクルがあるならセカンドアーティクルって何だ?ということになってしまいます。欧州司法裁判所の先決裁定が2015年、上記の資料は先決裁定後の2019年なのになぜ「ファーストアーティクル」なのかわからないし、わからないものをどう判断するのかもっとわからない。困った私は愚直にも、「ファーストアーティクル」を調べてしまいました。丸々1日かけて。しかしchemSHERPA関連資料でもECHAでもIECでも見つからず、思い余ってKemi(あのKemiです)にまで手を出しました(https://www.kemi.se/global/broschyrer/guidance-for-suppliers-of-articles.pdf)。この22ページに
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The first article that contains BBP is the cable.
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という記述がありました。古い資料なのでアーティクルの定義は今とは違うのですが、やっと “first article” というコトバを見つけました。どうやらファーストアーティクルというのはKemiのコトバらしいことはわかりましたが、やはり定義はない。もうお手上げです。
結局、Articleフラグを理解するには「ファーストアーティクル」というコトバを忘れないといけないらしい、ということがわかりました。これで丸々1日使ってしまった。おのれファーストアーティクル。

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