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RoHS指令とREACH規則の認可と制限の関係

【1.RoHS指令とREACH規則の認可と制限の関係】
1.RoHS指令について
RoHS指令とはEUにおける電気・電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限に関する指令 (Directive 2002/95/EC of the European Parliament and of the Council of 27 January 2003 on the restriction of the use of certain hazardous substances in electrical and electronic equipment) で、2003年2月13日に公布、発効されています。その当時は、特定有害物質として、鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、ポリ臭化ビフェニル(PBB)、ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBD) の6物質が使用制限の対象でした。RoHS指令は2011年に改正 (Directive 2011/65/EU of the European Parliament and of the Council of 8 June 2011 on the restriction of the use of certain hazardous substances in electrical and electronic equipment) されました。その後、2015年に、特定有害物質として、フタル酸エステル類の4物質 (DEHP、DBP、BBP、DIBP) が追加され、現在は、合計で10物質の使用が制限されています。
RoHS指令の目的は、電気電子機器に含まれる有害物質の使用を制限し、電気電子機器廃棄物の再利用や廃棄などの分野において、人の健康や環境に影響を及ぼさないことをEU全体で実現することです。

2.REACH規則の認可と制限について
REACH規則 ((EC) No 1907/2006) の認可 (Authorisation) について、その目的が第55条に規定されていますが、認可では、高懸念物質によるリスクが適切に管理され、経済的及び技術的に実行可能な場合には、これらの物質が適切な代替物質又は技術によって徐々に代替されることを保証しながら、国内市場の良好に機能することが目指されています。認可の対象となる物質は、(a) 発がん性物質、(b) 変異原性物質、(c) 生殖毒性物質、(d) PBT物質、(e) vPvB物質、(f) 内分泌かく乱物質等の6種類があります。認可対象物質はREACH規則の附属書XIVに収載されていて、ECHAのウェブサイトからも確認することができます。
REACH規則の制限 (Restriction) については、第67条に「附属書 XVII に制限が含まれる物質は、その制限の条件に適合しない限り、単独で、混合物で、又は成形品で、製造、上市又は使用されてはならない」と規定されています。つまり、附属書XVIIに収載される制限対象物質は、人の健康や環境に対して容認できないリスクを持つと見なされ、製造、上市、使用が禁止されたり条件が付けられたりしています。ただし、科学的研究開発における物質の製造、上市、使用には適用されません。

3.RoHS指令とREACH規則の関係性について
RoHS指令は電気電子機器中の有害物質を制限するものですが、REACH規則は、電気電子機器だけでなく、あらゆる製品が対象となります。REACH規則がすべての化学物質を対象としていることもあり、RoHS指令とREACH規則の規制範囲には重なる部分が出てきます。RoHS指令とREACH規則の関係性に関して、RoHS指令の第6条において、次の記載があります。「附属書Ⅱの制限物質リストの見直し及び改正は、化学物質に関連する他の法律、特に規則(EC)No 1907/2006と整合性があり、特に同規則の附属書XIV及びXVIIを考慮に入れなければならない。見直しは、当該法令の適用から得られた一般に入手可能な知識を用いるものとする。」また、RoHS指令 (2011/65/EU) の前文の (16) 項 には「附属書Ⅱの制限物質リストの見直しと改正は、RoHS指令とREACH規則の相互に独立した運用を確保しつつ、他のEU法、特に、REACH規則の下で実施される作業と首尾一貫し、相乗効果を最大化し、その補完性を反映する必要がある」という記載があります。つまり、RoHS指令とREACH規則の規制の関係性としては、互いに補完し合った上で一貫性のある規制になっています。
RoHS指令とREACH規則の関係性に関する具体的な内容に関しては、欧州委員会より、REACHおよびEU指令2011/65/EU(RoHS) の共通認識に関するドキュメント (“ REACH AND DIRECTIVE 2011/65/EU (RoHS) A COMMON UNDERSTANDING”) が発行されています。この中で、以下のようなケースについて、RoHS指令とREACH規則が、互いに矛盾なく補完し合うことができるようにするための方法について説明されています。
(i) RoHS附属書IIに収載済みで、REACH制限対象 (附属書XVII) として提案されている物質
(ii) すでにREACH制限対象 (附属書XVII) で、RoHS附属書IIへの収載が提案されている物質
(iii) RoHS附属書IIには未収載だが、REACH制限対象 (附属書XVII) として検討中の物質
(iv) RoHS附属書IIに収載済みで、REACH附属書XIV (認可) への収載が提案されている物質
(v) REACH附属書XIV (認可) 収載済みで、RoHS附属書IIへの収載が提案されている物質
(vi) REACH附属書XIV (認可) に未収載、RoHSでも制限されていないがリスクが懸念される物質
いずれの場合であっても、RoHS指令およびREACH規則では同じ物質と用途を対象としている場合には重複や矛盾が回避されます。
上記 (i) のすでにRoHS指令で制限されていて、REACH規則の制限物質として提案されている物質に関して、RoHS指令とREACH規則の間での物質の重複や矛盾を避けるためには、REACH規則の規制内容からRoHS指令が制限対象としている電気電子機器を除外する方法を取ることができます。この方法は、ジフェニルエーテルのオクタブロモ誘導体 (REACH附属書XVII エントリー45)、また、電気接点におけるカドミウムの使用(エントリー23.7) で採用されています。次に、(ii) のすでにREACH規則の制限物質であり、RoHS指令による制限が提案されている物質については、電気電子製品を含むすべての完成製品への使用がすでにREACH規則が制限されているわけですから、RoHS指令では規制する必要がないと考えられます。ただし、RoHS指令により、REACH規則と同等の、もしくは、より厳しい規制を課すことになった場合には、REACH規則の附属書XVIIの規制対象から電気電子機器を外し、電気電子機器に関しては、RoHS指令により規制されるようにする改正が必要となるでしょう。(iii) のRoHS制限物質ではなく、REACH規則による制限が検討されている場合、欧州委員会またはEU加盟国により制限が提案されている物質が電気電子機器にも含有されるような物質の場合には、まずは、REACH規則による制限が実施されることが考えられ、その後、その物質がRoHS指令の附属書IIに追加された場合には、電気電子機器はREACH規則による制限の対象外になることが考えられます。
(iv) から (vi) は、RoHS指令とREACH規則の認可の関係性に関するものです。まず、(iv) の RoHS制限物質がREACH認可物質として提案されている場合、RoHS指令で一切の適用除外の用途が認められてない場合には、その物質が含有されている電気電子機器を上市することはできませんが、電気電子機器の製造のためにその物質を使用することは原則的には認められます。実際の可能性は少ないかもしれませんが、電気電子機器の製造のために、その禁止された物質を使い続けることは可能であり(ただしその物質を含有する電気電子機器の上市はできない)、その場合に、REACH規則による認可の要件が適用されることになります。また、適用除外の用途が規定されている
(つまり、特定の用途に関してはその物質を含有している電気電子機器を上市できる) 場合には、電気電子機器へのその物質の使用にはREACH規則による認可要件が適用されることになります。(v) のREACH認可物質でRoHS附属書IIへの収載が提案されている物質について、REACH規則の認可要件には、電気電子機器に関する適用除外は含まれていないはずです。RoHS指令で適用除外なしで制限されるようになる場合、REACH規則の認可要件を満たせば、その物質を使用して電気電子機器を製造することは可能ですが、そのように製造された電気電子機器を上市することはRoHS指令では認められません。また、RoHS指令で適用除外が認められる場合には、適用除外された用途についてREACH規則の認可要件を見直す必要があるでしょう。最後に、(vi) のRoHS指令の附属書ⅡやREACHの附属書ⅩIVに含まれないがリスク管理措置が検討されている物質に関しては、REACH規則の附属書XIVに収載することを進めつつ、RoHS指令によりリスクが適切に管理できるようになった時点で、適用除外を認める、または、RoHS指令附属書IIへの収載が決定するまで、REACH規則の手続きを遅らせる、という2つの方法が考えられます。
EUにおける電気電子機器の製品含有物質の管理については、RoHS指令だけ参照すればよいというわけではなく、RoHS指令による制限10物質以外にも、REACH規則の制限や認可で、成形品として規制対象になっている物質がありますので注意が必要です。なお、欧州グリーンディールに基づく循環型経済活動計画や持続可能性のための化学物質戦略の実現のため、RoHS指令もREACH規則も改正に向けて検討が進んでいます。今後、改正の進捗状況についても気になるところです。

引用先・2002/95/EC (統合版 2011年9月10日時点、ただし有効期間終了日: 2013年3月1日、2011/65/EUにより廃止)
http://data.europa.eu/eli/dir/2002/95/2011-09-10
・2011/65/EU (統合版 2023年3月1日時点)
http://data.europa.eu/eli/dir/2011/65/2023-03-01
・REACH規則 (統合版 2022年12月17日時点)
http://data.europa.eu/eli/reg/2006/1907/2022-12-17
・ECHA、認可対象物質リスト
https://echa.europa.eu/authorisation-list
・2011/65/EU (当初の法令原文 2011年7月1日時点)
http://data.europa.eu/eli/dir/2011/65/oj
・欧州委員会、REACHおよびEU指令2011/65/EU(RoHS) 共通認識
https://ec.europa.eu/docsroom/documents/5804/attachments/1/translations/en/renditions/native

(一社)東京環境経営研究所)

​(2023年5月)

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